突然の、韓国の「戒厳令」には、マジかよ~? ビックラこいたが、一夜明けぬ内にそれがもう転覆……。
いきおい戦車が市街に出て要所をかため、兵士の銃口が周辺を圧迫するというような状況ではないけれど、『戒厳』という、言論を含むモロモロを封殺できる「パンドラの箱」がパコッと開き、また閉じたコトに、驚かされた。
ひどい方向に向かわねばヨロシイが、不安定な情勢に杞憂がふくらむ。
映画『ターミネーター2』でヒロインのサラ・コナーズは、破滅する世界を知っているがゆえに悶え苦しみ、そこを何とか我が手で突破しようとテロルの道に落ちかけて、
「未来は先の見えない夜のハイウェイ……」
と云ってたけど、昨今モロモロ、日本も世界も、光量少ないライトでかろうじて数メートル先を照らすだけのまま、猛速で駆けるしかない真夜中の道路状況のようで、なんだか、とても、疲れさせられる。
✿✿✿✿✿————✿✿✿✿✿ ————✿✿✿✿✿————✿✿✿✿✿
数年前から、やたら『ブラックホリデー』という単語が急速浮上で、今年は、あの店この店いずこもが競うがごとく、セールス・モードでかまきびしい。
1週間ほど前の新聞の折り込み広告も、どれもこれも黒基調なダーク色。
どこの国じゃいココは……、発祥地の米国じゃ感謝祭の1日だけのセールスということなのに、なんじゃい、いつまでも……。
うざったい気分で眉をしかめるんだけども、30%だの40%だのの割引プライスが眼にもとまって、つい、というか、マンマと……、amazonの吉野家オフィシャルに注文したりもして、結局は手を振り腰を振り、踊らされてしまうんだった。
加川良の『教訓1』の歌詞は、
命は1つ人生は1回 だから命を捨てないようにね
慌てると ついふらふらと
御国のためなのと言われるとね
で始まるワケだけど、なんだかこの歌詞のように、
「ついフラフラと」
やっちまい、セールスにノッかってしまったコトを、恥じるような気がしないでもなく、どこともなく加川の云うところの「教訓」っぽい。
が一方で、密かに頑固に、「好物を安く買えたんだからイイじゃん」、損得勘定もうごめいて、反撥と受け入れの狭間空間が裂けるような感じもしたりで、モノ売る者とモノ買うものを繫ぐ、なかなか、困ったもんだのセールス「ブラックホリデー」なのだった。
✿✿✿✿✿――――✿✿✿✿✿ ――――✿✿✿✿✿――――✿✿✿✿✿
35年以上前に神奈川は相模原の友人よりプレゼントされ、以後ずっと愛用したマグカップを壊してしまった。
お茶をナミナミ入れたのを一口すすり、テーブルに置こうとして落っことした。
横須賀の米軍基地の一般観覧日だかで友人が、当方宛に買い、岡山にやって来るさい持ってきてくれたマグカップ……。
ビショ濡れた床の拭き掃除でアタフタした後、壊れたマグカップに気づき、
ガ~ン
一発くらったような痛苦を味わった。
ロッキードは1981年にステルス攻撃機F-117を開発したけど久しく情報公開されず、改良型F-177Aの開発でもってやっと、その形状など概ねの詳細が開示された次第ながら、それを記念してというか、情報公開したのでもうイイだろうと、米軍の広報部署から販売されたスーベニア・マグカップ。
開発後の実使用中も秘密にされてたもんだから、レーダーに映らないらしいという評判が1人歩きし、ステルスという匿名性高き単語とあいまって、形状が判らないまま想像で構築されたプラモデルが販売されてベストセラーになったコトもある。
機種ナンバーも不明だったゆえF-17じゃなく、F-19と模型メーカーが、これも想像でつけてる。想像での形状ながら、なかなか……、イイ線ついてた模型、でしたな
1988年頃、どういうカタチの機体かを米軍本人が公にしたことでそれまでの憶測やら空想はピタリやんだ。限定品マグカップも売りに出た……。
これをプレゼントしてくれた彼は、つい数ヶ月前、亡くなった。
報を聞いたさいには、朦朧とした暗鬱に落ちて落涙したけども、こたび、マグカップ破壊に追い打たれ、ガッチョ〜ン。
うっかり、床に落とした自分を責めるしか、ない……。
彼は図柄の違う2ケをくれたので、もう1つは健在ながら、左右の翼の片っ方を自ら砕いた次第に、しばし、ガックシうなだれ、暗澹の波をかぶった。
亡き彼に申し訳ないと詫びても、もうしかたない。破損したカップを見つつ、壊れても捨てられないであろう記憶の堆積がかぶさり、マグカップという小品の中に、大きな宇宙ありや……、感慨した。
破損のまま、一輪の花を活ける入れ物にしようかと、手元に置くコトを想った。
モノはただのMONOでもあるけど、時に、大きく大事な物思いの中心点でもあるよう思う。