アポロ11

 

 主要都市では既に7月、上映が終わってる。

 それがやっと岡山にやってきた。とはいえ期間はわずか1週間だった。それも毎朝9時50分からの1回きり。

 ま~、しかたない。

 この上映館は好きでない。プログラムを工夫し、大手の映画館では上映されない作品を揃えてガンバッてらっしゃる反面、堅たっ苦しく、ともすれば官僚的な空気が匂い、映画を大事にするあまり往々に客を粗末に扱う。結果、映画を愉しませてくれる装置ではなく、映画を見せてやるという感じ悪さがつきまとう。

 ま~、それも眼をつむり、朝1回きりのを観た。

 入場番号8番で、ボクの後から2人入ったから、10人での鑑賞という次第。

 少ないといえば少ないし、10人もと思えば多いかも……、とも思わないでもない。

 自分と同じくらいの年齢か、ちょいと上の年齢の方での10人。もっと若い、アポロ時代以後に生まれたピープルに接してもらいたいとも思うけど、ま~、しかたない。

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 1969年当時、NASAはハリウッドから70ミリ・カメラとカメラマンを呼び、膨大な量の記録撮影を行っていたものの、それを編集するでもなく、撮りっ放しのままに倉庫にしまい込み、いつのまにやらただの備品扱いにして、今に至ってたんだから、どうかしてる。

 11号での熱狂は12号で既に冷めはじめ、13号ではテレビ中継もない状態だったのが、あの事故でもって世界を心配させたものの、14から17号では月への憧憬と冒険への興味は急速に沈んでいった経緯を思うと、撮ったものの、使えぬままにという状態になったのも判らないではないけれど……。

 そのフイルムが再発見され、さらに他の記録映像と混ぜ合わせて、こたびのドキュメンタリーとなったワケで、ともあれど捨てられずに保存されていただけでも後世の者にとってはありがたい。

 

 同じような試みとして、2007年にロン・ハワードが、やはりしまい込まれていたフィルムを復活させてドキュメンタリー『ザ・ムーン』を製作して、それもまた秀逸な編集だったけど、こたびのは編集のワザもさることながら、何しろ元の素材が70ミリなんだから、絵の情報量がでかい。

 クリアにして明瞭な画質、ついさっき撮ってきたみたいな鮮烈が随所にあって、眺めいってるだけで、時間を忘れちゃった。

 とりわけ打ち上げまでの前半が素晴らしい。

 

 

 あの赤い発射塔の各フロア随所に取り付けられていたテレビカメラの白黒映像もこたびは本ドキュメンタリーにうまく組み入れられ、これを観てはじめてやっと、どう、カメラが機能していたかを知らされたりもした。

 

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Paper Modelにみるカメラ配置

 

 自明のことながら、月に到着してからの映像はいささかツマラナクなる。第3者としてのカメラマンは存在しないのだから、ま~、それはしかたがないけど、地球での打ち上げの様子が潤沢に撮られているだけにギャップを意識しないでもない。

 とはいえ、そんなことに不満はない。

 

 あるのは……、観終えた途端に物足りない感がやってくるコトだ。

 当然にアポロ計画の全容が2時間弱のドキュメンタリーに封入できるワケではないのだけど、ベチャっといえば、もう一膳、ご飯いただいていいすか? みたいな満足の延長をもっと味わいたいゆえの物足りなさがあるのだった。

 たぶんボクは全容を掌握したいのではなく、たとえば、飛行士達が鉄塔に到着し、エレベーターにのり、エレベーターを乗り換えて一気に9番スゥイング・アームのフロアまで運ばれ、そこから塔の外周の通路をめぐってアポロの搭乗ハッチに至るまでをカメラで追うというような……、部分の克明詳細を味わいたいのだろう。

 

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 映画を観に出向いた日、CNNNASAの新たな宇宙服の発表会を報じてたのは、タイムリー。

 アポロ11号から17号に至る探査でもって、月の表層は実に細かいパウダーで覆われているコトが判ってる。それは概ね、月が誕生して以来続々と衝突し続けた隕石やらの木っ端が積もりに積もったものなのだけど、温度差は極度なれど風のない世界……、風化して次第に丸くなるという現象が起きない。なので微粉末状とはいえガラスの粉みたいなアンバイ。表面はギザギザにささくれてる。素手で触れたり吸い込んだりしたら、きっとエライことになるだろう。

 地球上では、ジーンズで地べたに座った後は素手でホコリやら土を払い除けりゃ済むけど、月でそれをやると、きっとチカチカした後で手のひらだかに血がにじむ。

 なので長期滞在に向いた宇宙服もまた必需。アポロ計画での月面状況を踏まえてのスペーススーツ進化は、待望されたものだったろうし。

 映像を見るに、こたびやっと自力で前屈みやら、しゃがむことが出来るようで、喜ばしい。色使いは微妙にヘンテコとも思うけど、ま~、いいや。

 

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CNNのニュース画面より

 

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 この前、台風19号の災害対応として政権は、予備費の支出を決定したけど、額面をきいて唖然。

 たったの7億1千万だよ……。

 一方で、『桜をみる会』の来年度支出が5千7百万を予定というんだから、バカにしてら~。

 それで野党が「いかがなものか?」という次第だけど、解決させるのは簡単だ。

 税金使った上で意図的に選民し、芸NO人なんぞを呼ぶ必要も必然もないわけで、『桜をみる会』に行くなら御1人1万5千円ほどの「祝儀」を必要にすればいいんだ。

 安倍は1万人を目安に選民してるようだけど、ならば逆に、1万5千人規模で募集(政権が勝手に選ばない)し、当選した方々は1万5千円支払って、それで大好きな首相やらと握手したり携帯で写真撮って披露すりゃいいじゃんか。

 1万5千×1万5千の収益は2億2千5百万になる。

 初期運営経費は、事務局の郵送代がメインとなろうから、5百万もあればお釣りがたっぷりだろう。

 飲食経費など差し引いた後、収益はそのまま災害支援に即座に廻せばいい。

『桜をみる会』は安倍政権がはじめたワケでもなく、1952年から延々とやってる「慣習」に過ぎなく、この政権になって費用がアホみたいに膨れてるだけのものだから、止めてしかるべきだけども、継続するなら祝儀なり会費を集めて行え……、と思うね本気で。それではじめて”桜マーク”って~感じ。

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2つめイベントをクリアして

 日曜のおかやま国際音楽祭『JAZZ UNDER THE SKY Vol.7』。

 昨年のVol.6は台風通過で開催出来ず、さてと今年もでっかい台風にじり寄り、直前までダメかも……、と按じられたものの、コースが外れ、結果は皆さんご承知の通り。

 関東方面では被害甚大で心傷むばかり。泥沼と化して電車も動かなければ家の掃除もおぼつかない方面の方々には申し訳ないのだけど、イベント開催にこぎつけた。

 とはいえ、突貫工事でのステージ設営。

 ステージを覆う屋根は断念。だからチョット物足りない。

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 ま~、それでも開催でき、東京からのミュージシンや関連者も、運休から運行に変わったギュ~ギュ~詰めの新幹線で1部の方は立ったまま岡山まで来てくれた。

 色々な歯車が、こたびはうまく噛み合い、うまく廻ってくれた。

 

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 飲食部門テントのショップ配置を検討中のK女史とS氏。

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 ステージに運ばれたピアノを早速に調律のY氏

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 ステージ・バックヤードでは束の間、記録班の連中と司会者と運営委員の少数で自撮りで戯れるユトリも出来ちゃった。

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 Photo by Ohbayashi

 

 けれどまた一方、後述するけど、今回はスタッフ不足。飲食部門担当者も会場整備にテンヤワンヤ、兼務を余儀なくされてるのだった。

 

 ほぼ設営完了で即効のリハーサル。下写真はSHIHOとガスト指揮による京都ジャズオーケストラ。

 リハーサルの音(ね)が響き出すや、それまでの会場造りの喧騒が一気に音符に変わり、1つの束となってく感じがあって、この瞬間は何度味わっても魅力的、裏方冥利につきる。

 

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 開場からステージ・スタートとなるまでの時間はアッという間に過ぎちゃう。

 開場直前でのあわただしいミーティング。後方では既に入場待ち長蛇の列。

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 Photo by Ohbayashi なが〜い影法師が印象的

 

 予想はしていたけど、予想を上廻る来客ライホウ大盛況。

 用意した椅子席1500はたちまち埋まり、さらにピープルズ老若男女がやってくる。ドローン撮影とかで上空から写真が撮れたら、さぞや壮観だろうと思うけどドローン持ってないし、ここじゃきっと飛ばせない。

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 司会の平川さんとK副実行委員長。こたびは男子スタッフ複数があれこれ急があったり家族に不幸があったりで、決定的ヒトデ不足。K氏は本来のステージ業務から外れ、会場のお客整理係をやってくれた。その不本意をチビリとも顔に出さない清々しいK氏の姿に感動しつつ、

「感動した~ッ」

 とは声に出さなくていいい空気が流れちゃってるOJF(おかやまジャズフェスティバル)面々の粒ぞろいの良さ。

 世の中、「連帯」とか「絆」の単語が容易に使われちゃ~いるけれど、単語を口先でもてあそんじゃいけない。眼に見えないところ、たとえば帽子の中とかにホントの光りもんアリ。

 

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 Photo by Ohbayashi


 通称OJFバーでの飲食部門では、生ビール部門を筆頭に人ヒト人の黒山。炙ったお肉をこそぎ落として提供のケバブなんぞは、1時間待ちの長蛇。ごく個人的には『はせい』の”ひら”Tシャツを欲しいな、と思ったり。

 

 陽がかげるや気温が下り、ジッとしてると震えるほどじゃあったけど、そこをステージがあっためてくれる。

 名渡山遼、Shiho&Gast Waltzing with Kyoto Composers Jazz Orchestra、武田真治

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 Photo by Ohbayashi

 

 我がことで申せば、Shihoのフアンなもんだから、2年ぶりの再会も嬉しく、あいかわらずのステージ・パワーに魅了されるコトしきり。

 ステージをおりた彼女に告げるや、京都ジャズオーケストラ・メンバー全員が狭い場所に集結してくれ、おかげでこの1枚、パチリ。

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 さ〜さ〜。裏方として早朝7時から夜10時頃までのブッ通し15時間。

 やってる時にゃさほどでもないけど、事務所に荷物を運び入れて片づけ終えるや、いつもの通りの疲労に浸透された自分と直面。

アヘアヘアヘ~」

 こっそり肩をばサスリ擦りしましたよ~んの、なが~~い充足の1日終了。

 夕飯食べてるヒマもなかったゆえ、帰り道、kosakaちゃんと吉野家で、チャチャッと「月見牛とじ御前」。旨いと感じる間もなくたいらげ、後はひたすらベッドが恋しや。

 

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見舞いの後に食事して

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 週末にホントに台風なの? と疑念するほどに良い天気だった昨日。

 呼び出され、天神町の高層マンションの一室にて、Y氏、S放送の某氏と会合。

 そこからは同局の新社屋建造中がよく見え、定点観測にはもってこいだなぁとも思う。甚九郎稲荷の本殿両サイドの樹木のデカサがこの写真で知れる。

 まだ先の話となるけど、とある企画が動き出したのが嬉しい。懇談し資料提供し、うまい茶を啜る。

 

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 数日前の日曜。トモダチが入院している岡山市民病院に、kosakaちゃんの車でヒョイ~っと行ったのだった。

 サップライズ効果を考え、ベッドに寝ているであろう本人には告げずに訪問だぁ。

 このでっかい病院の立体駐車場は病棟にピッタリ隣接しているけど、フロアに高低差がある。車を留め、エスカレーターに乗ると2階へ行くよう案内が書かれ、指示通り2階へ行くと乗ったさいのドアとは反対側、背後のドアがあいて、病院2階のセンター・フロアに入れるようになっている。エスカレーターが2つのビルの段差を意識させないよう工夫されているワケだ。

 けども日曜。ガラ~ンとして、明かりも少なく落とされ、2階にある総合受付に人はない。

 病室を聞こうにも、入退院センターとかいう場所もカーテンが下ろされてクローズ。職員が誰ぁ~れもいないのだ。

 

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 で、あちゃこちゃ探すと、総合案内所の小さな告知板に、さらに小さな文字で、対応の場所が書かれてた。

 1階の緊急外来受付に行け、という意味のことが書かれてる。

 

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 さらに、別の壁の掲示板に13番窓口に行けとある。

「なんか判りにくいにゃ~」 

 ブツブツ呟きつつも、ともあれ階下へ。

 ところがその1階に13番が、ない。

 しゃ~ないから守衛室で訊ねると、「それなら12番に行って」という。

 なんだぁ~~?

 苦笑しつつ、ともあれ12番窓口で「6階西病棟653号室」の情報を得た。

 やれやれ。安堵しつつ売店で見舞いの品を買い、エスカレーターで上へ上へと上がり、目的の病室を訪ねると4人部屋。

 年配な方が3人寝ていて、1つベッドが空いている。

 あれ?

 すぐそばのナース詰め所で訊ねると、

「ぁ、Kurozumiさん、1時間ほど前に退院されましたわよ」

 

 病棟から1階12番窓口への連絡もまだ出来ていない間隙での見舞いというコトになるんだろうか。せっかく見舞いの品も買ったのに……、こういうのを徒労というのか? 

 いや、そうではありません。術後の経過もよろしく、めでたくも退院出来たコトを喜ばねばいけません。

 

 という次第でちょいと時間が空いた。

「ならいっそ……、倉敷まで駆けて、旨いモン喰うか」

 というコトに予定がコロリンコ。

 小一時間駆けて倉敷にゴ~。

 さすが日曜。どこの駐車場もいっぱい。市営駐車場の入口界隈は駐車待ちの車がズラリ。

 でも、美観地区すぐそばの某所に空きを発見。

 車を留め、徒歩2分で目的の「梅の木」。

 kosakaちゃんお勧めの味噌カツ屋さん。

 

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 倉敷のトンカツといえば「かっぱ」が高名ながら、ここのは一見、トンカツに見えないカツのカタチ。ふ~ん、こんなカタチもありなのね……。

 オーブンで焼いたお肉柔らか、味噌だれ甘旨。キャベツの山良し。味噌汁の中の小さな卵も気がきくな~。

 ビールに合いました。おなか満足。

 

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 そのうまいタイミングで、退院したKurozumiちゃんからモシモシあり。僅差で見舞えずを話し、クスクス笑う。

 で、店を出て、車に戻って、駐車料金払おうとすると……。

 

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 1時間と3分ほどなのに、1500円!

 食事代より高いでないの……。普通、1時間なら高くっても400円か500円っしょ!

    kosakaちゃんとしばし顔見合わせ、ボ~リ暴利ボウリッ、アタマをかきくけこ。

 せっかくの「梅の木」の味わいが、これでちょっとスッぱくなっちまったわい。

 なるほど、この状況を知ってる倉敷市民は、ぼったくられない市営の駐車場に置きたいワケだな、並んで時間がかかっても。

 でもねぇ、観光地にありがちなコトとはいえ、こんなネダンを出してくる駐車場があることジタイを市民は恥ずかしいと思わない? 

 そう呟いたのは、このハナシを翌日に聞いたジャズフェスのY女子の感想だけど、ぁあ、もっともだァもっともだァ、と呻きブシ。

 

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 さぁ、数日後の日曜。13日。

 予定では下石井公園特設ステージでの『下石井3days』でのメダマ・イベント『ジャズ・アンダー・ザ・スカイ』を開催するつもりで準備を重ねつつじゃ~あるのだけど、台風接近中。

 実は去年も台風襲来。それで中止になってるんだ。

 なので風と雨の動向、数時間置きに天気予報をチャックしているんだけど、新幹線の計画運休というヤッカイなのもあって、そうなるとミュージシャンの移動が制限されるし、一憂に次ぐ一憂、天候に向けて何か出来るワケもなしで、こういう気苦労はあんまり、味わいたきゃ~ないね~。

 

 

お金の流れがわからない

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 庭のキンモクセイに花がいっぱいつき、あたりに良い匂いを散らせてる。まことに香しく、ホッホッホ……、と繊麗にして寛雅な気分になりはするけど、当然に落花する……

「お池にはまって、さ~大変」

 池を汚す。

 生息中の金魚たちは、エサと思ってついばむものの、「何じゃこれ」ペッペッと吐き出し迷惑顔。

 

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 消費税10%になって早や5日。

 この税が何に活用される事になっているのか、といえば本来は社会福祉

 年金・医療・介護にあてられ、さらに今回より少子化への対策にも使う、というコトになっているようだけど、平成元年にスタートした3%消費税導入からこの10%にアップに至るまでの、その恩恵としての実感が皆目サッパリないのが、気持ち悪い。

 チャンと使われているの? という不信が拭えない。

 

 世界で1番に幸せな国たるフィンランドの消費税(同国では売上税という)24%と、日本に比べてメチャに高額に思えるけども、なぜ世界で1番に幸せを実感出来るのかといえば、結局はその税金がキチンと還元されているからだろう。それが眼にみえ、耳に聞こえ、還元されているのがチャンと判る仕組みがカッチリ動いてるからだろう。

 使い道に国民が納得し、事実、その社会保障は分厚くて至れり尽くせり、育児保証も老後保障も行き届いて、日本でよく聞く「漠然たる不安を抱えて生きてる」なんて~のとは、かなり違う。社会がふくよかなんだな。

 

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 フィンランドの場合、車を買うと、それに100%の税金がのっかる。250万の車は500万円を支払う。だから必ずしも皆が皆は新車に乗れない。

 そこで中古車が幅をきかせるワケだけど、それとても100%の税がかかるから、20万キロも走ったような、日本だと15万円でも高すぎると思われるのが150万やら200万円(税込み)で売られてる。

 でも誰も文句がない……、のはその税金が道路維持や整備や自動車を利用しての移動のための快適なインフラに、車の整備修理工場を含めて、確実に使われているのを承知しているからだろう。(雪深い国でもありスパイク・タイヤ装着が義務化され、道路は1シーズンでかなり傷むし)

 大袈裟にいえば、国家とその人民の歯車が合致して、そこに不信がないワケだ。住みよくしようというエネルギーが行政側にも市民側にも同一のものとしてあるワケだ。

 そういうところが日本は希薄というか、税があがるたびに不信度もまた募るというのがヨロシクない。国家のカタチが実態は……、成熟していないんだね。

 

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 税のハナシじゃないけど……。その昔、鎖国で閉じてたこの国に向け、露西亜、亜米利加、英国などの船が次々にやって来ては開国を要求し、その圧力に江戸幕府はその場限りの策でもって応じ、後退に後退を繰り返し、遂にはペリー艦隊を横浜(当時は貧寒とした村)に受け入れて、日米和親条約を結び、500人規模で上陸した米国人全員に、数億円相当の出費でもって日本橋「百川」に饗応の食事を依頼。宴席を設けたものの、その返礼的な亜米利加の行事は旗艦ボーハタン号に20人ほどの役人を招いただけという、早やこの時点で、「おもてなし」の通じない国家格差を見せつけられているというテイタラクだったワケだけども、その後が問題だ……

 
 安政5年の日米修好通商条約はいわゆる不平等条約のさいたるものだったけど、その第5条での「金銀等価交換」でもって、たちまちに混乱の大波をかぶることになる。

 

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     タウンゼント・ハリス初代駐日領事(トランプ同様この人も基本は商人(貿易商))

 

 全権領事のハリスの頑強さに日本側役人がオタオタしたということもあろうけど、亜米利加との交渉直前になって幕府は長崎・出島のオランダ人居留地を管轄の長崎奉行所に交換レートを訊ねるというノンビリっぷり。

 オランダと幕府の間では長きに渡って1ドル・メキシコ銀貨と一分銀貨を等価として交換してきた。この実態はオランダ側の慈善的交換だったけど幕府はそうとは理解していなかった。

 そこをハリスは突いた。1ドル・コインの銀の量と一分銀とでは3倍ほど1ドルの方が多い。

「おかしいじゃないか」

 ハリスにガンガン詰め寄られ、タジタジしちゃった幕府側は、それで1ドル銀貨・イコール・一分銀3枚という条件をゴックン呑んでしまう。

 金や銀で鋳造されているコインの世界基準での価値(交換レート)を掌握しないままに条約を結んでしまったから、さ~大変。

 

 どう大変かといえば日本国内では、一分銀4枚は1枚の小判に相当するが、この金の小判1枚は、海外の貨幣社会では1ドル・メキシコ銀貨4枚と等価なのだった。

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 だから日本にやって来た外国人は、たとえば1ドル銀貨2枚を一分銀6枚と交換、そのうちの4枚の一分銀を、横浜の幕府ご用達の両替商に持ち込んで小判1枚に替える。

 1ドル銀貨を交換しただけで、4倍になっちゃうのだった。(ホントはもっとヤヤコシイけど簡単に書くとそんな感じ}

 小判はすなわち、金だ、ゴールドだ。

 当時の世界基準に照らし合わせると1両小判は地金として4ドル以上に相当した。

 日本で両替して小判を持ち帰って溶かして板チョコレート状態にすれば、1ドルで額面価値4倍をはるかに上回るゴールドとなるワケだ。

 だから何も海外の珍しいモノを持ち込んで売らなくても、両替だけで儲かるんだから、笑いが止まらない。

 この状況を知って続々に亜米利加から商人が来た。ズタ袋に大量の1ドル銀貨を詰め込み、それを持ち込んじゃ~2度の両替をして小判に替え、さっさと帰ってった。ワッハッハ、と大笑いで帰ってった。

 1万ドルの銀貨を用意すれば、4万ドル以上の金を手に入れちゃえるんだ。

 これで日本国内から大量の金が奪われた。

 どれっくらいの損失だったか今も詳しく判ってないのは、時の幕府がこの失策を隠蔽したからかも知れない。

 もちろん、ボ~~ッとしてたワケじゃない。幕府はその状況に慌て、小判の金の含有率を下げたり、新たな硬貨を準備したりで、この騒動をおよそ1年ほどで収束させることはした。

 でもきっちりと、総領事ハリスはその間に私財を両替ででっかく膨らませてもいたらしい。儲けちゃったワイと日記に書いてもいる(ハリス日記によれば、儲けは慈善事業に使ったとある。彼の生まれ故郷のキリスト教団体で活用したらしきだけど、日本は奪われただけで何ぁにも慈善されてはいない)。

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        幕末のこの金騒動は『大君の通貨』佐藤雅美著 講談社が詳しい。

お気軽にチョットの場合は我らがみなもと太郎の『風雲児たち』幕末編第12巻がツボをおさえてる。

 

 海の向こうのしたたかな連中と交渉するのは、今も日本は苦手でしょう。

 トランプと安倍のこの前の「日米貿易協定」もそうだ。安倍のいう「ウインウィン」なんて~対等なもんじゃない。いいようにあしらわれちゃってるのを彼はごまかして笑ってるだけで、はるか昔のなさけない幕府役人とチッとも変わらない国益の差し出しをやってる。


 ま~ま~ともあれ、お金は出てくばかりで、上手に還元されない……、という感想がやたらに浮沈する今日この頃。

 消費税対策として政府は広報や宣伝に74億円も投じてるとも聞く。なんで?

 さらには、10%にアップしての増収のうち大半を、税率アップによる景気落ち込みの対策に廻すともいう。「プレミアム付商品券」とか「ポイント還元制度」などがその1部だけど、なんで?

 おまけに今日になって、「日米貿易協定」締結で農業の落ち込みを抑止のために” 支援策”として補正予算を編成とのことで、なんだ? 「ウインウィ~ン」って云いつつ、農業部門にお金をバラまかにゃ、結局やってけないワケだ……。

 意味不明な連打に、つい首をかしげ、そのままひっくり返りそう。

 災害大国で世界最先端の高齢者だらけの社会。そんな国での税の再分配となれば、もっとアタマを使わねばイカンのですが……

「漠然たる不安を抱えて生きて」

 を更新するしかないのが口惜しや。

 

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 まったくどうでもイイ話ですが……、この前の「ちゅうぎんまえジャズナイト」に履いてったシューズはフィンランドKARHV(カルフ)製。足幅がやや細めの人にはフィットするけど扁平だと履きにくいというのが特性。

 新人の女の子スタッフが「きゃ~きゃ~」いい、「それ、ワタシも持ってる〜」色違いのを神戸に買いに行ったそう。きっとファッション誌だかに載ってたんだろう。限定仕様だったか? コチラそういうことは知らず「岡山で買った」と告げたら、「ァっれ~」眼をおよがせ口惜しがってらっしゃった。

 き・の・ど・く……。

 

イベント1つをクリアして

 大事なスタッフの1人がイベント数日前に自転車転倒。鎖骨が折れちゃうアクシデントがあってアタフタさせられ、当日はここ数年同様に雨が落ちる・落ちない…… でヤキモキ。

 28日の土曜。会場近く、天神町の朝。RSK山陽放送の新社屋建造現場の上空に暗雲たれこめて、さ~さ~今から降りますぞ、ってな感じ。

 

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 けどもしかし、昼前には眩い日差しが会場である中国銀行本店前広場に差し込んで、準備中のスタッフ達なにやら無意識で日陰へ移動。

「雨が降るはずなのに、何で~?」

 訝しむようなアンバイだった。(下写真:日差しで明暗クッキリ)

 

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 という次第で湿気は高いものの雨落ちず。

 『ちゅうぎんまえジャズナイト-2019』は大勢の方が来てくださった。

 傷の痛みでトホホ~っのkurozumi君は大事なポジションであったから、こちらもトホホ~っなのだったけど、手術で1日も早く癒えるのを待つばかり。自転車でコケちゃって大怪我はボクも数年前にやっちまってるからね、痛いの痛いの飛んでけ~なグッタリ気分はよく判る。

 ま~、彼の分も含め、当日はグァンバッタ頑張った。

 アレしてコレして、緊張したり、ほぐれたり、眉しかめたり、笑ったり。

 

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 恒例の楽しいスタッフ・ランチは、今回は「じゅんぺい」でなく、唐揚げがうまい「とも」。でもワガハイはトンカツ。

 長丁場のイベント運営なのでモリモリ食べておかねば身がもたないの……、というワケで隣りの美女は、竜田揚げに肉ジャガのミックス。

 「とも」はふりかけとゴハンはお代わり自由。ふりかけはきっと広島産の「ふりかけの友」だろう……。

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 開場17時半。開演18時半。

 ハヤちゃんこと司会の早田氏が開演を待つ観客席に向け、ラグビーW杯の日本チームが逆転勝ちの速報をMCした途端の「ウォ~ッ」てな大歓声と拍手で、18回目となった『ちゅうぎんまえジャズナイト』はいい空気に満たされてのスタートとなった。

 

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 中国銀行の屋根付きの広場はかなりの広さ。その広さを活かすべく、ステージと観客席、テントを設けての飲食ブースと、会場には2つの顔がある。その飲食ブース、パラソルシート席利用の観客に向け、スクリーン設置でライブを生中継予定であったものの、骨折で部門のリーダー不在、かつ予想がつなかい天気具合に翻弄され早い時間で実施を断念。

 これが痛恨の極みであるにはあったけど、ご来場の大勢の方々はきっと楽しんでくださったろう、思う。

 

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                  Abobe 2 photos by Y.Ohbayashi

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              カレー完売でニッコリのスタッフ(右端)

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                舞台袖からステージを見る早田氏


 終演は21時。いつもの通り、会場撤収の作業を終えた頃にはもう23時近い。

 毎回ボクを送迎してくれ、この日の前日は我が部屋の天井照明をLEDタイプのものに取り換えてくれた電気系アレコレが専門職な Kosakaちゃんと「長崎ちゃんめん」で遅い夕食。

 生ビールで餃子をたいらげてる頃には、早くも、肩、首、腰、ふくらはぎ、アチャコチャが痛みを訴えだしてらぁ。

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 翌日サンデー。肩重く、首ギシギシ。くたびれのピークが到来中。

 ランチ用に安いステーキ肉買って来て、ちょいとスタミナ補強の1人飯……。

 で、夕刻まで昼寝。"急"な後のこの怠惰めいた"緩"が大事ね。昨日のせわしなさを追想しつつ午後の甘睡に蕩ける。

 

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 OJFイベントの次ステージは「下石井3Days」の中日、10月13日の下石井公園特設ステージ

 SHIHO(元フライド・プライドとジャズオーケストラ、名渡山遼、武田真治……、という強力布陣。おそらくはこの3日間連続催しでの最大規模の観客動員になるのじゃなかろうか。

 良い天気でありますよう。

週末は『ちゅうぎんまえジャズナイト2019』

 週末土曜の中国銀行本店前ひろばでの『ちゅうぎんまえジャズナイト2019』まで、あと数日。

 昨日は本店界隈の主要な箇所箇所に、市の文化担当者と一緒に挨拶廻り(街の中心部での野外ライブなのでね)。毎年のことで別段にたいした大仕事でもなんでもないけど、先週のスタッフ・ミーティング同様、いわば同じコトを繰り返さなきゃいけないから、面倒といえば面倒。

 とはいえ、ミーティングもなし、挨拶もなしで、イベントはありえないワケで、ま~、そうやってジワジワと下準備を積み重ねるのが裏方の仕事。必需ワーク。ヒョイヒョイこなして、

「もう幾つ寝ると~」

 本番の日を待つっきゃ~ない。

 と、それにしても良いスタッフ、良き仲間達。皆なそれぞれが自身の持ち場をわきまえ、それぞれが裏方に徹して粛々に事をすすめてる。なので、ミーティングも一応の確認がメインとなる。誰かが突出で引っ張ってるわけでなく、めいめいがそのポジションでコマを進めてる。気持ちいい。

 

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 OJF事務所の入るビルの一角、ポリゴナムが自生(誰かが植えたとは思えない)し、壁を登ろうとしてる。ポリゴナムは生えた場所から葉脈を下らせていくのが性質、我が宅で繁ったのも這い下ってるから、上昇はチョイ珍しい。

 コンクリートだらけの場所ゆえ、上に伸びるしかなかったか? 他の登るタイプの植物とからみ、それに引っ張りあげられてるのかしら? 

 ともあれ生きようとする生命力が感じられ、密かにエール。 

 

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 先日に会合したY先生から頂戴の、資料に眼を通す。

 年末1215日(日曜)に開催確定した講演のための資料だけど、細かな文字ビッシリ。あんまり眼が悦ばない。

 くわえて、文字がススス~っと読めるというか入って来る時と、そうでない時があって、今は後者のよう。

 そこを払拭しようと、サーシャ・アイゼンバーグの『スシ エコノミー』、野口勲の『タネが危ない』、中村修造監修の『黄金文化と茶の湯』、Eっちゃんから借りてるのやらをハシゴし、拾い読んでは散漫をうっちゃろうとするんだけど、油がきれた蝶番みたいにギクシャク。何かが障害して読書モードのスイッチが入りきらないんだね。いささか心外なガックリな事があって、その辺りの雲行きが、ていたらくな……、秋雨前線と化したか。

 うざったいような、モワ~ンとした感じのままなんで、しゃ~ない、本も資料も閉じてしまう。

 

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 うざったいといえば……、ついこの前、ブラッド・ピットが、自らプロデュース兼主演した映画『アド・アトラス』の宣伝に東京にやって来てたね。

     情報源はココ 

 宇宙飛行士のSF物語ゆえ、お台場の日本科学未来館毛利衛さん(館長。同館での『サンダーバード展』ではずいぶんはりきってくれた)山崎直子さんを交えてのトーク・ショーが行われたようだけど、何で……、わざわざ作業服を着せるんだろう? 既に引退して久しい元宇宙飛行士の山崎さんにね。

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 JAXA(ジャクサ・日本宇宙航空研究開発機構が広報活動を兼ねたいのは判るけども、ワッペンペタペタ飛行士の作業服着せて、いかにもコレは宇宙飛行士でございます~、という『カタチ』を見せようとする魂胆が、うざったい。

 退職して既に7年、今はどこかの美術大学の教授職のヒトに、わざわざ作業服を着せるのって、山崎直子という個人を尊重してないよねっ。

 

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 上の写真は2014年の何かの記事からの写真引用だけど、場所は首相官邸。ここでもまた、若田さんにわざわざに作業服を着せて出向させている。

 スーツでもポロシャツでもいいはずだし、実際、本場NASAでさえ、宇宙飛行士のインタビューとかじゃ”制服規制”がない。ワールド・ワイドで全世界から注目だったアポロ11号の打ち上げ前のオフィシャルなTV出演でも、3人は私服だ。

 中央のアームストロングも右のコリンズもジーンズのラフ。普段の本人のスタイルだ。

 

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「着せなきゃ飛行士として認識できない」

 とか、

「それらしい絵になるから」

 なんて~押し付けが、邪ッ臭さ~。とどのつまり、キャラクターとしての人間を信用せず、衣装に潜む固有性にしがみついてんだね。

 青いのを着せなくとも、山崎さん、若田さん、素晴らしい仕事をした人物だと判ってますって。

 

 ま〜、そんなコト書きつつ週末土曜は『ちゅうぎんまえジャズナイト2019』。

 私服でなく、OJFロゴの入った"作業服"、スタッフTシャツで皆さんをお迎えでごんす。

 予算がないんで昨年と同じシャツですがぁ、ステージは予算費やし充実です。楽しんでいだたけることを期待して、準備中。

 よ・ろ・し・く・お・ね・が・い・し・ま・す

 

 ※ 上記のイベントの問い合わせ

=おかやま国際音楽際実行委員会事務局=
TEL.086-232-7811

 

 

ホドロフスキーのDUNE

 DVDを買おうか買うまいか、どうしようかと放置してる合間にアマゾン・プライムで配信されたドキュメンタリー『ホドロフスキーDUNE』。

 概ね内容は承知のつもりだったけど、なるほどなぁ、そうだったのね、合点したり納得したりであった。

 デヴイッド・リンチの『DUNE1984より前に、怪作というか傑作というかいささか置き所を考える『エル・トポ』の監督アレハンドロ・ホドロフスキーが、1975年、同作品の映画化を試み、パリに最高のスタッフを集結させた上でハリウッドの映画会社に企画を持ち込んだものの、却下される。

 この顛末とその後を描いたドキュメンタリー。

 

 企画が没にならなきゃ、『エイリアン』のあのデザインと世界観もまた違ったものになっていたろうと想うと、災い転じて……、という感も浮く。

 けどまた一方、サルバドール・ダリオーソン・ウェルズミック・ジャガーデヴィッド・キャラダインなどなど、当時の常識では考えられない配役をし、しかも、既に各人と交渉済みというアンバイで映画会社に企画を持ち込んで、コロンビアやユナイトやMGMやディズニー、といった大手の映画会社に衝撃をあたえ、皆一様にビックリで口あけて唖然という経緯も、よ~くわかった。

 

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             アレハンドロ・ホドロフスキー大いに語る

 ホドロフスキーは集まったエキスパート達と練りに練って、厚さが20センチを越える設定デザインも含めた絵コンテを作る。

 すでに配役も決めた上での絵コンテ(絵はメビウスだから、後はそのコンテに従って実際に撮影すればいい、というところまで作り込んである。音楽はピンク・フロイドが作ることになっていた。

 それを複数印刷し、何社だかの映画会社に持ってったわけだ。

 

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    圧倒的にぶあつい絵コンテとホドロフスキー。本の状態で現存するのは2部だけらしい。

 けども却下だ、どこの映画会社も腰を上げず、企画は没になる。

 3部作か4部作に分けたとしても、上映時間が10時間を越えるし、当時、SF映画というものはマトモに俎上にあげてもらえず、ティーンエイジ向け低予算という括りで語られることが多かったし、何より、『ベン・ハー』のような純然な聖書物語の副読本のようなあんばいでなく、異教徒的立ち位置による宗教色が感じ取られ、しかもドラッグ的な物質が核となるという次第が、難色の色を濃くした。カルト作風なホドロフスキーがそれを監督するならいっそうダメというニュアンスが濃かった。

 ほぼ同じ1975年頃に、ルーカスがやっと20世紀FOXの出資を得て『スターウォーズ』を作りはじめ、公開されてメガヒットとなるのは1977年だ。それで映画界の流れが大きく変わるけれど、ホドロフスキーはチョイと早すぎた。

 彼が哀しい頓挫を味わっているうちに、やがて1984年、映画屋ディノ・デ・ラウレンティスのプロデュースによりリンチ版『DUNE』が誕生する。

 

 いうまでもなくデヴィッド・リンチの『DUNE』はダメな映画の1本だ。

 ディノ・デ・ラウレンティスの特撮部門にお金を費やさないケチっぷりやら監督の権限を制約した手法がひどく足を引っ張って、豪奢なフルコースであるはずのものが安い定食に置き換わってしまってた。監督が豪奢な建材や金釘で組み上げようとするのを、それを家主がホッチキスで留めるればいい、といったアンバイになり下げた。

 

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 とはいえ……、リンチ版『DUNE』が嫌いかといえばそうでない。

 まとまりない作品ながら、リンチの嗜好や絵作りは随所に見られるし、彼の息吹を感じるところもまた多数ある。秀吉の黄金茶室をはるかに凌駕したでっかい金ピカゴールドな謁見室に黒ずくめのパンカー達に守られて登場の巨大”水槽”といったヴィジュアルは、イミテーション・ゴールドな鈍い輝きに満ちてチャーミングだったし、空中浮遊する毒針注射器の影が毛布に映じるや、それがうねって毒蛇の動きのように見せるなど、リンチの眼の置き所というか趣味性がよくまぶされ、だからストーリーを追うよりはシーンごとでの作りを味わうべきな作品と解すと、駄作という烙印は消える。

 上写真:米国でTV放映のさい、1時間近くの未使用フィルムを新たに組み入れた長尺版。4:3画面サイズながら、これはこれで”たのしめた”リンチの『DUNE』2枚組DVD。巻頭から信じがたいホドの安っぽい絵が次々に登場し、それで物語の状況を説明してるんだけど、絵のひどさに激憤か、編集権のないリンチは監督名が画面に出るのを拒否。ま〜、お気持ち判ります。でも、未使用だったシーンをふんだんに観られるしぃ〜、編集もおざなりで〜、ゆえに逆説的に”たのしめる”という、ある意味でカルトなバージョン。

 

 当然に、ホドロフスキーが監督をやって映画が完成したとしても、それが傑作になったかどうかは判らない。「どうかなぁ、これは?」疑問符やら拒絶が起きた可能性もまた高い。

 出演を快諾したダリやオーソン・ウェルズがいざ撮影となると、アレコレ物議をかもす難題を出してくる可能性も高かったろう。『影武者』での勝新太郎のトラブルよりでっかい”困ったことになった”が続出したろう。

 

 このドキュメンタリーで特筆は、そのダリの愛人であったアマンダ・レア(リアとも)がインタビューに答えていること。

 ボクはこの謎の女性がずっと昔から気になっていた。ROXY MUSICの2番目のアルバム「フォー・ユア・プレジャー」のジャケットを飾った人物だ。

 

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 デヴィッド・ボウイのミュージックVTRに出ていたこともある。当時、ブライアン・フェリーが夢中になったヒトということは今野雄二のライナーノーツを呼んで知ってはいたし、ゴシップ多きなヨーロッパ社交界の花だということもおぼろに知ってはいたけど、よもやこのドキュメンタリーに本人が出てくるとは、ついぞ思ってもいなかったからビックリだ。

 

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                当時のダリとアマンダ

 

 ホドルフスキーに向けてダリは、出演料1時間10万ドル(当時)を要求し、同時にアマンダにも役を与えるコトを要望する。

 ダリは皇帝役だ。その皇女役にアマンダをというわけだ。

 交渉はダリが定宿にするニューヨークのセントレジス・ホテル(今だってお1人さま1泊で最低12~3万かかるそうな)、次いでパリのシャンゼリゼ、さらにバルセルナへとダリの移動と共に行われ、その間にホドロフスキーは脚本を再考、ダリの顔をした皇帝の影武者ロボットを多く登場させることで本人の登場時間を5分ほどに縮め、出演料の抑制に成功。でもって皇女役をダリの要求のまま受け入れた。

 なので、メビウスが描いた膨大な数に登る絵コンテには、アマンダの顔の皇女がチャ~ンと描かれている……。

 

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            特徴あるダリ髭の皇帝……。メビウスの絵コンテより

 メビウスホドロフスキーに心酔し、久しく彼の存在を精神的な柱としていたというが、それは後述するけどH.R.ギーガーやメカニック・アートのクリス・フォスたちも同様だ。フォスは英国人だけどホドロフスキーのいるパリに移住して現在にいたる。『DUNE』の絵コンテ表紙はフォス作品。

 家康や秀吉がシビレちゃった信長のように、信奉者を多数産んだS・ジョブスのように、ホドルフスキーにはヒトを引き寄せ酔わせる磁力が強靭だったんだろう。惜しむらくは、信長にしろジョブスにしろがどこかの時点でカルト的存在ではなくって普遍的なレンジでの高位置に登れたけれど、ホドルフスキーはいまだに、カルト・カルチャーの狭い枠組みの中でもって語られていることだろうか……。

 

 が、だからといって今更に、ホドルフスキーによる『DUNE』を観たいとは思わない。カルトな位置からワンランク引き上げてあげたいとも思わない。撮られずに終わったことで逆に、ホドルフスキー版『DUNE』と彼という存在は、”活き続ける鮮度”を得たと感じる。

 それは不幸ではあるし、それゆえの失意や凋落を経験したであろうホドロフスキーだけど……、彼が持ち込んだ絵コンテがハリウッドの映画関係者に回覧され、多くの映画に影響をあたえていることもこのドキュメンタリーでは描かれる。

 

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ギーガーと彼の絵。結局、『DUNE』のために描かれたこれらのイメージが、最近の『プロメテウス』を含む『エイリアン』シリーズで使われることになる。

 

 ホドルフスキーは強圧な風に倒壊した大木だけども、倒れたことでそこから新たな芽が幾つも伸び生えたことが知れる。

 だから、良いドキュメンタリーだった。

 むろんながら、新たな芽となり葉となっていったとしても、拭えきれないトラウマが方々で残ったのも、また事実だろう。

 このドキュメンタリーの中、故ダン・オバノンH.R.ギーガーの生前のインタビューの肉声には、ホドルフスキーの企画に加わってそこに自身を賭けた末での頓挫の、狂おしい焦燥が残滓としていつまで経っても消えていないのが手に取るように判りもする。

 ギーガーにとっての誉れの源泉と原点は、『エイリアン』での栄光ではなく、ホドルフスキーに見いだされ、自身のもてるイメージを最大限にぶつけた『DUNE』だったことが良く判り……、その表裏の実相をうまく伝えたこのドキュメンタリーは、考えさせられる諸々の含有率が高くって、秀逸な良作なのだった。

  

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 1978年にパリで買ったメビウス作品『Le Garage hermétique 』が掲載されたMETAL HURANTのハードカバー合併号。性器描写とかがケッコ~あって税関で取り上げられるかもと心配したけど、ネ。

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 リンチ版『DUNE』での悪役フェイド・ラウザに扮したスティング。ホドロフスキーの『DUNE』ではミック・ジャガーが演じるはずだった。下はその絵コンテの1コマ。

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          なるほど、顔がしっかりミック・ジャガーですな。