ご近所のラブリ〜・タケちゃんがくれたチョコをありがたく囓りつつ、さて本題。
1月末頃だったか、眠ろうとして眠れない晩があり、羊をかぞえるのも何だしと弱ってたら、アタマの中に「美しく青きドナウ」の旋律が駆けた。
綺麗な曲だわいねぇ。
しばしはメロディを追ったが、この曲、「美しく青き」だったかな? 「青く美しき」だったかな?
どっちだドナウ?
と、気になりだした。そうすると眠ちゃお~という努力は揮発してしまう。
ベッドから起き出し服をつけ、階下に下りて、暖房をつけ、iMacたちあげてウィキペディアで文字を拾った。
あ、そうか。やはり「美しく青き」が“正しい”のだね、と納得。
興がノッたので書棚から『2001年宇宙の旅』のBlu-rayを取り出し、モニターではなく久しぶりにスクリーンを下ろし、プロジェクター投影で観た。
とはいえもう何10回も観た作品。早送りし、かの曲を背景に、宇宙ステーションにパンナムのオリオン号が向かうシーンを観る。
何度観ても、優雅かつ美しいシーン。
ヨハン・シュトラウス2世とスタンリー・キューブリックの最高の組み合わせ。というよりも、「美しき青きドナウ」を宇宙空間に運んだキューブリックの着想に乾杯だなぁと感慨しつつ、ふと思いだし、amazonでオリオン号を検索。
たしか去年の5月頃だかに、大きなサイズのプラスチック・モデルが出る予告があったよな。あれはどうなったんかしら……、何気なく探してみるんだったが、
「あらっ」
驚いた。
もう既に販売され、少量生産か、第1期輸入品は完売し、2期目が少々在庫というコトのようだったけど、なんか~、値段があがってら。
確か2万円弱くらいとおぼえてたけど、3万を越えてるじゃんか……。
円安ゆえ? 少量品ゆえの時価?
このままだとプレミア価格となってバッカみたいな値段になるかもしれない。
悪しき予感がし、さて、そうなると、今のうちに……、というヘンテコ気分が急速に湧くんだった。
去年暮れに海洋堂の「太陽の塔」を使ってディオラマ化したさい、
「もうこれでプラスチックの模型は造るコトはあるまいよ」
と、確信的に思ったもんだったが、確信は、お豆腐の上に建ったビルディング……。
もろいなぁ~。
くわえて、この模型を製造販売の米国メビウスモデルズ社のことを兼々に好意的にとっている。
60年代頃のマニアックなSF系のモノや同時代の車などに軸足を置いて模型展開している極度に趣味性の高いメーカーで、ここが作ったモノなら信用していいという気も高い。
という次第で2月になって大きな箱が届いてしまった。
届いたら、すぐに開けてみるのが礼儀って~もんだ。
手にし、軽度な仮組み。
なるほど、1/72スケール。確かに大きい。
オリオン号の模型は複数持ってはいるけど、いずれもスモール。これは比較にならないサイズとディティール。
(メビウスモデルズは1/350などスケール違いで幾つかオリオン号を販売してる)
コクピットや客室部分もある。映画でのあのカタチを踏襲し、巧妙に再現している。
「いいじゃないか」
ニッコリする。
とはいえ、この宇宙船(米国ではオリオン号というよりスペース・クリッパーの名で通ってる。クリッパーとは帆船だ - スペースシャトル的客船だ)の窓は小さいから、そこに顔を寄せて覗きこんだって、そ~そ~内部は見えないであろうコトも、一目瞭然。
どのように造りこんでも、船体を組み上げてしまえば、内部はほぼ見えなくなる。
が~、それでも、いざ作業をはじめると、造り込んでしまうのがサガって~もんだ。模型ならはでの悲劇か喜劇か判らないけど、要は工作の満足度合いのバロメーターじゃね。チョイと加工したり塗装するコトで、
「あのカタチをこの手にしたぞ~」
って~な、納得と得心をえるワケだね。
模型全長は76センチほど。パーツを合わせつつ工作をどう進めるか、LED発光で航空灯などのギミックも仕込めるな……。クリアで綺麗だけど付属台座は使わないな……。早や検討している私っ。開封してまだ15分と経っていないのに。
しかし、あんのじょうというか、パンナムのロゴがないんだ。デカールが入ってないんだ。
パンナム(パンアメリカン航空)は、60~70年代は世界最大の航空会社、航空界のハナガタ企業だったけど1991年に倒産している。でも商標権は今もいきていて、現在の管財会社は容易に使用許可を出さないんだね。
ナンギじゃねぇ。
なので昨日、イラストレーターで作図を試みた。
模型の該当部分のサイズを測り、径31mmどんぴしゃサイズのデカールを造る下ごしらえ。
パンナムのロゴはネットで調べりゃ容易に見いだせるけど、ここで注意すべきは、そのデザインがいつのモノかということだな。
実は2つ、あるんだ。
もっとも知られているのが1970年頃にジョセフ・モンゴメリーがデザインしたロゴ。
で、もう1つが1957年にパンナム社のデザイン・コンサルトだった建築家のエドワード・ララビー・バーンズが造ったロゴ。
とてもよく似ているけど、絶妙に2つは違うのだ。PAN AMERICANのフルロゴも右方向にヒゲが伸びた独特なもの。
映画『2001年宇宙の旅』はパンナムから使用権を得て60年代に製作されているワケで、当然に機体に描かれているのは、1957年にバーンズ氏がデザインしたロゴなのだ。
というワケで版下造り完了――。
まだ手元にデカール用紙はないし、電飾用LEDもないから、工作は後日だな。来月になるかな?
あの夜、素直に眠れていたら、こんなコトになるハズはなく、3万円越えの出費もなかったろうとヤヤ後悔めいた感じもなくはないけど、これも宿縁か? あるいは宿怨か?
ぬかるんだ模型の道をヨタヨタまた歩みつつ、クツクツっと笑う今日この頃。
ゼッタイに見えなくなるコクピット部分パーツと、見えなくとも創ってしまったコクピット・パネルのイラストレーターによるディスプレー部分。実寸横幅22mmの極小。
ちなみに上は、1982年にバーンズ氏が設計したニューヨークのIBM本社外観。ポストモダニズム建築の代表例。
岡山市北区柳川交差点そばのグレースタワーⅢは、このテーストをチビッと模したようなカタチじゃないかしら。3階だか4階テラス部分に「たま大明神」があるのが愛嬌。グリーンで覆われたテラスは誰でも入れるけどアピール不足か?
見せようとしてないのかな?
1F部分にはライブ・スペースもあって、下写真は2019年4月19日撮影。小雨で肌寒かったよう記憶するが、馴染んだ方々のたのしい演奏で気づくと寒さはどっかへ飛んでってた、な。