この12月でイチバンの冷え込みになった昨日の水曜、姫路にいく。
まねき食品の、えきそばがイチバンの目的。
ソバとウドンの真ん中でブレずにうずくまり、姫路駅の各ホームやらステーション界隈を中心に姫路という地域のカタチを構成する大きなポイントとなっているらしきなのが、まねきのえきそば。
もっともヨロシイのは電車で向かい、下車してホームで味わうのがイチバンかもしれないけど、こたびは道を知り尽くした感があって頼もしい、いつものお仲間2人との車旅。
入場料を払って姫路駅ホームに入るのもナンだしと……、寄ったのは姫路城にごく近い店舗。
えきぞばをジャンク・フードとみなす方もあるようだけど、な~にそんなコタァない。
中華ソバと日本ウドンという2つの王道の狭間に生まれた中道の中の中道、いわば天体と天体の釣り合いバランスの最良点、ラグランジュ・ポイントに位置したのが「えきそば」であって、ガラクタという意味合いでのジャンクなんぞじゃ~ないのだノダのだ~ノダ~ぁ(コダマしてる)。
ソバのようでソバにあらず、ウドンのようでウドンにあらず、ほいじゃ~何よ? と問われたら、
「えきそば!」
と応えるしかない磁力と品格を背にし、姫路というローカルな迫力と握力をよりグローバルな方向に放射しつつあるのが、え・き・そ・ば。断固、ジャンクじゃ~ない。
オトコ3人ともども、チュルチュルル~、すすりあげた。
うん、うん、この味、この味……、王道でなく「中道」の絶品味覚。
430円でした
姫路市内のスーパーにも立ち寄り、自分用の土産に生麵のと乾麺タイプのものも買った。
さぁ目的は達した。
といって、そのまま帰るワケはない。
姫路駅の南方、亀山本徳寺へいく。
『本能寺ホテル』やNHK大河『軍師官兵衛』や『新撰組』などケッコ~な数の映画がここで撮られてる。
門構え、大きな講堂(本堂)、その手前の広い境内などなど、たしかに撮影にうってつけのロケーションなんだろうけど、実は新撰組とユカリのある建物でもあって、ここの講堂は、西本願寺にあった北集会所(きたしゅうえじょ)。新撰組が幕末に屯所として使ってた。
それが明治になって、同じ浄土真宗派の姫路の本徳寺に移築されて今にいたる。
だから、『燃えよ剣』はもっともユカリに近い家屋で撮影した映画ということになる……。
講堂の廊下にある、刀キズがいっぱいの柱。戯れに切りつけたんだろうが、彼らの精神性が垣間見えるようで興味深い
芹沢鴨、近藤勇、土方歳三、沖田総司やらやらが壮烈な青春をおくった家屋での、『燃えよ剣』の撮影。伊藤英明の芹沢、鈴木亮平の近藤、岡田准一の土方……、その熱演と幕末のリアルが否応もなく交錯し、しばし講堂やらその廊下を眺めいった。
本徳寺での、映画『燃えよ剣』のヒトコマ
でも、イチバンにこの寺のカタチを有効に使ったのは『本能寺ホテル』かしら? 佇まいを見遣りつつ、綾瀬はるか演じるヒロインが堤真一の信長に会うシーンの数々を思い返した。堺の商人らから茶道具を信長がまきあげる滑稽シーンでの空間の広がりは、このでっかい講堂あってのコトだったのね……、こっそり感心もした。
映画『本能寺ホテル』より 信長役の堤真一達に追われるヒロインの綾瀬はるか
今回撮った本徳寺講堂
映画『本能寺ホテル』より 講堂の廊下部分
今回撮った同じ場所
書寫山 圓教寺と書くのが正しいらしい。
しかし、ショシャザンは発音が難しいねぇ。ショとシャのシ音連打がハードルをあげてらぁ。
ショの次のシャで発音が不安定になり、立て直そうとエンキョウの辺りで舌が妙にりきむから、おもはゆい。嘘とおもうなら、すぐに口に出してみんちゃい。
ロープウェイで登り、『ラスト・サムライ』を筆頭に、『本能寺ホテル』やら『駆込み女と駆出し男』でロケされたさいの雰囲気をば味わう。
『ラスト・サムライ』では、トム・クルーズと渡辺謙が出会う素晴らしいシーンが撮られ、原田眞人は重要な役で俳優として出ているけれど、書写山ロケには加わっていない。
でも10数年後、原田はここを東慶寺にみたてて自らの作品『駆込み女と駆出し男』の最重要なロケ地とした。
いずれも好きな映画。それゆえ、初めての探訪ながら、懐かしく再訪したような妙な感覚に囚われもした。
無意識に、映画でのシーンに一致する場所を眼が追い、
「ぁ、この辺りじゃな。ここにカメラ置いたんだな……」
ただの映画マニアになって、アチャラコチャラ、眼を這わせるんだった。
どういう次第か、我がiPhoneのバッテリーが干上がり、こたびは同行者が撮ってくれた写真を混ぜて披露している。
映画『ラスト・サムライ』より 右手前はトム・クルーズ
ほぼ同じ位置から撮影 photo : N.Nakatsukasa
中央は重要文化財の食堂(じきどう) photo : N.Nakatsukasa
その食堂に登る 足が竦む……
中は宝物館になっていて、室町時代からの史料がドッチャリ
宝物に囲まれた一画に『悦』の書。いいねぇ、どっかのお寺さんが選んだ『戦』よりはるかにいいわ。それにこの漢字が名に入ってる女史を2人ほど知ってる。どちらも魅力的なんだなぁ。この書のように、踊るような気分というか感性の方々なんだなぁ なのでつい嬉しくなった。
Kosakaちゃん撮影の摩尼堂 複雑な装飾に感嘆。しかしこの日は寒くって、靴を脱いで中にはいるんだけど、床が冷えに冷えていて、「ひx〜」足の裏は悲鳴……
しかし……、天台宗のお寺って、比叡山延暦寺もそうだけど、古刹の多くは険しい山の中。一方、亀山本徳寺などの浄土真宗のお寺さんはたいがいに平地。
お山に天台、平野に浄土真宗……。勝手にそう区分けしておこう。
下山し、わりと近くにあるヤマサ蒲鉾へ、いく。
大正5年に営業を開始した姫路を代表するカマボコ屋さん。かにかまぼこ発明の会社。その大きな工場があって、中に直営店がある。洗練され、とてもオシャレな店。
賞味期限ありの製品達なので、正月用というにはヤヤ早過ぎだけど、正月までのオチャケの肴として求める。
アレコレあって買い悩む。どれも旨そうなので困る。
ちなみに天台宗最大の有名人たる最澄は、飲酒と飲酒する者を嫌い、酒を呑んだり関係した者はただちに比叡山から追放したというから、おっかない。
うちは……、浄土真宗に属してるんで、「悪人なおもて往生す……」おっかなくない。飲酒時の肴をば複数買って、ニッタリ笑い、
「さぁ、いのうや」
姫路からゲット・バックするんだった。