今年は1月がアレコレあって身動きならず、2月に1つ、今月に1つと、まだライブ体感2本…。
数はどうでもよろしいけど、ナマの音とその空間というのは良いね。
下写真は2月のザ・リサイクル。
身内的ノリと声域的ノリがうまく噛み合った愉しいステージ。このあとホーン・セクションとオルガンが加わって音がぶ厚くなってった。グッド♡
でもって上の写真、つい先日、3月はじめの某所でのミニ・ライブ。謳うは秋本節(たかし)。
真摯と諧謔入り混ざっての緩急自在のプロ・サウンド。
ザ・リサイクルも秋本も年に1度のステージというアンバイも心地良し。馴染みの曲に耳が悦び、お酒おいしく、共に観覧の方々とのハナシも弾んでポップポップ。
さてと別の日の午後。カルチャーホテルでまた会合…、の所をコチラの都合で変更してもらい奉還町のオンサヤで合流。
古めかしく、かつ破けた良い味のソファにかけ、持参の新造模型を前にア〜ダ〜コ〜ダ〜で充実のいっときで、そのまま暫定納品。
飾って楽しむものではなくあくまで検討のための模型だから、これから依頼主のところで酷使される予定。
何ぞ検討と検証がなされその後にまた新たに模型というコトで、しばし付き合いが続く。しかしこたびの造形物(とある構造物の基礎型)は、どこかトンネルを想起させられるようなところがあって、そこがオモシロクも。
模型的なメダマでみると、トンネルというのは実にヤッカイな存在。
入口と出口のカタチは特徴づけられても、あとはただの暗渠な筒なんだからヤリニクイ。
その点を見事にクリアしたのが1966年放映の、かの『タイムトンネル』だったような気がする。
おそらく、今見返すと、番組としての『タイムトンネル』はきっと退屈だろう。
しかし記憶の中の『タイムトンネル』は退屈でない。
当時ずいぶんとハラハラドキドキで毎回を愉しんでいた。
だから、そのイメージを壊さないためにも、DVDを買って懐かしんだりしない。
けども、映画セットとしてのタイムトンネル造型は…、今顧みてもスゴイ。
映像というカタチ、光の効果というか、フイルム上でいかに空間を見せるかをよくよく考慮した、セット・デザインの花形だったと思う。
白と黒の永遠感覚なトンネルは、セットとして眺めると…、実は黒の部分は何もない空き空間なんだ。
あるのは、白い楕円ベルトと床部分の歩行用の通路のみ。
白いベルト部は実際は10本あるきりで、トンネル内奥は絵。白いベルト部はその外周壁を黒でペイントし、周辺の暗さに溶け込ませている。いわば錯覚を利用しての造型。
このセットは諸々な物品を背景の黒に溶け込ませることで逆に膨大な情報量を引き寄せた、極めて希有なセットであろうと…、常々に感心をしている。
繰り返すが、黒の部分には何もないんだ。だからそこに照明やら発煙器などを置いて、白部分への演出が出来るという仕掛け。
※ 図解のように、大から小へと10枚の"ツイタテ"状の構造物がセットの要め。
※ 黒いベルトに見せた何もない空間に照明を入れると、トンネル内部が光るという上手い仕掛け…。
実際のセットを顧みるに…、格納庫クラスのかなり大きなサイズの床面積が費やされる。ズバリいえばアメリカンなサイズ。日本だと、これだけの広さを演出できないような感じがする。
トンネル手前の3つの卓。背後に横長い…、何かとんでもない仕事を機械的にこなしているという風情感バリバリな、ただもう光るだけの装置が素晴らしい。おびただしい量の光ったり消えたりを繰り返す小ランプの数々が“役者”として演技しているワケだ。
このセットをいっそうカッコ良くみせるための合成マット・ペインティングがまた素晴らしい。
これでトンネルの奥行きと秘密施設が如何に巨大かつ長大であるかが示される。
たしか、マット画はこれともう1枚…、ただの2枚が使われていただけに過ぎないと思うが、効果は甚大だったと記憶する。
製作者ケン監督であったアーヴィン・アレンは最小限の予算で最大限のビジュアルを見せる天才だったような気がする。
上の写真右から3番目が御本人。黒いオビ部分が何もないのがこの1枚でよく判ると思う。
彼が製作した『原子力潜水艦シービュー号』も、『ポセイドン・アドベンチャー』も『タワーリング・インフェルノ』もそうだった…。効果の引きだしかたが実にうまい。
で、わけてもこの「タイムトンネル」がやはり映像のマジックという1点で秀いでて、素晴らしい。
トンネル内に過去や未来が映像となって現出するというアイデアが既にノーヴェル賞ものだし、登場の科学者や軍人は白衣に制服と…、いわば毎回同じ衣装で済むから、衣装代予算がかからない。効果に対しての経費の圧縮も天晴れ。
タイムマシンがあるなら、このタイムトンネルの撮影現場を見学したいな。
この番組では機械をメンテナンスするシーンなどもあって、憎いトコロをついてくるなぁ、とても鮮烈だった。真空管やらやらの当時60年代のテーストが味わい深し。
卓上の、トンネルに変化を促す装置としてのスライダーは…、今でこそライブ・ハウスのPA卓ミキサーでお馴染みさんだけども、60年代を子供として生きたボクは、これにずいぶん痺れちゃったもんだい。だって日常の中でスライドさせるスイッチって、なかったんで、
「ああ、未来感覚いっぱ〜い」
憧れましたな。今、写真をみるに僅か3つか4つですが…、数量ではなくって、この存在の"らしさ"こそがグッド♡
その昔、タイムトンネルは全世界でただ1つのみ、日本でプラモデルが出た。
よくま〜、そんなのを模型化したなぁと感心するし、それを当時買ったボクも大笑いながら、さらにはその1部パーツがいまだ手元に残ってるのも大笑い。
デカールもはげ落ちてボロボロながら…、カタチのエッセンスが楽しい。
これ、いまさら捨てられないよ。
男はこうやって、こんなボロでさえも捨てず…、あれこれ引きずって生きるワケ。
ま〜、それが男の特性といってよろしいかと。