タワー祭り

タワー祭り、だったのだ。
タワーマツリ… と云われてもピ〜ンと来る人は誰もいないであろうから、その子細はあえて触れぬままに突っ走って書くが、タワー祭りというからには、自ずとタワーが関係するのである。
バンドの名だ。
東京タワーズ
OKAYAMA通天閣SP。
金甲山電波塔。
新龍屋本舗塔。
以上、4つのタワー系なお名前を持つバンドが集合してのライブが、タワー祭りなのだ。
東京タワーズはアンさんとチンタという2人だけのバンドで、チンタがボーカルにギターで、アンさんがパーカッション。
2人とも生っ粋の江戸っこで、70年代から連綿とライブ活動を続けてるプロの中のプロ・ミュージシャンだ。(写真:加賀雅俊撮影)
フォークとロックを足し、シロップに演歌を混ぜた上で、ジャズの苦味を持った妙チキなバンドだ。
「穴」というケッタイな持ち歌があって、これを演ると全国のどのライブハウスでも、哄笑とも狂笑ともつかぬ雪崩のような笑いと共に会場は大いに盛り上がるのだが、わたくしめはこの曲が嫌いで、これを朗々と唄って大熱演のチンタには悪いけど、ライブの後のウチアゲでもって、
「オレ、アレ、嫌い・・」
と、モノ申すのを常套としているのである。
常套というからには、自ず、過去何度も聴いたというコトになるワケで、ぶっちゃけた話、過去4〜5年、彼らが岡山のライブハウスに来るたびに、わたくしめは彼らの演奏を欠かさず聴いてきたのであった。
その上で、
「オレ、アレ、嫌い・・」
なのである。
ライブ後はほぼ明るくなるまで必ず一緒に呑むし、ライブ前に食事もするので、ミュージシャンとオーディエンスの関係から、おっ友達な関係となって久しく、マ、そのような悪態もつけるワケだけど、その「穴」以外はまことにいいバンドなのである。真摯にして寡黙なアンさんと、アホを装って徹底した熱狂をステージ上で繰り広げるチンタとのコンビネーションは、一種の『芸』の粋に達しているといって過言じゃない。

で。
以上は前置きでござって、今回の本題はこのバンドではなく、通天閣なるバンドなのである。
で。
このバンドについては、あえてココには記さないコトとする。話せば長くなる。
いいバンドだ。
しかも中心は親子である。
その親の方とわたくしはかなりに近しい・・。敬愛してやまぬ人物とだけ書いておく。
この通天閣というバンドはイベントのたんびにミュージシャンが変動するのだけど、そこが楽しくもあり〜〜なのバンドでもあるのだけど・・ こたびの、9/7の金曜日の『タワー祭り』は、行きたいのは山々なれど諸々諸般の忙しいモードの渦中であったゆえに、どうしても〜〜〜、ライブには〜〜〜、行けなかったのだ。
口惜(くちお)しいけどイケなかったのだ。その時間帯にワガハイの時間を捻出できへんかったのだ。
でも、それでも・・  それではアンさんとチンタに申し訳ない気が猛烈にあったんで、自分の娘のように可愛がっているアッコちゃんにライブに出向いてもらったのだ。
アッコちゃんを説明してるとさらに長くなるので、前後左右省略。ともかく、アッコちゃんに出向いてもらったのだ。
ほいで。
「えっ!!」
アッコちゃんから、このライブ見聞を聞いて、驚いたんだ。
いや、正直に申すと、哀しくなったんだ。
な〜〜〜〜〜んと、このOKAYAMA通天閣SP名義でのライブに、近年、なにかと行動を共にしてるオ〜君がピアニストとして出演していたというのだ。
「え〜〜〜〜っ!」
と、もっぺん、エ〜〜を繰り出したわたくしコト僕は、哀しさを二乗に昂ぶらせた。
だってよ〜、その翌日の土曜に会ったさいもオ〜君は、前夜のコトには一切触れず終いで、な〜〜んも教えてくれなかったのだ。
出るコトも知らされず、出たコトも知らされずというのは、なんと申しますか、水くさいといった形容詞では語れない悲哀がござんして、アッコちゃんの笑顔の前で僕ちゃんはしばし朦朧となったのである。
実は何を隠そう、ピアニスト・オ〜君のフアンでもあるのだ、わたくしめは。
そんなコトであるなら、無理を重ね、意地をばはってでも、タワー祭りに参じていたろうに・・・。
で、悪り〜〜ィコトに、「みずくさい」という形容詞が意味するトコロを僕は、知ってもいるから、ある意味、二重奏めく悲嘆を瞬時に感じたんだな。
「水くさい」というのは、本来元来、"親しい間柄なのに、よそよそしいことを"指すのだよ。
すなわち、水くさい、というのは、親しくなくては用いてはいけないのだ。
で、あるからして、この場合、わたくしめとオ〜君は親しくなかったんだ・・ と、ま、そのような、スネた気分もプク〜〜っと風船のように膨らんだりもしたのだ。
咄嗟に「みずくさい」と思ったオレがいけなかったのだ・・。だいたい、オ〜君はクールな人なのだ。自分をあんまり語る人ではないのだ。
ぅ〜、でも、残念。
この残念な気持ちは何なのだと・・ 恋が実らなかった少年のような気持ちで今日は、ここに記す。
(おっと、按ずるなかれ、同性愛的傾向はござらんので諸氏、ご安心をば \(^-^)/)