ヴェルヌの観たい映画

ここ2ヶ月ほどは、毎年のことながら岡山JAZZフェスティバルに深〜く関っているもんだから、それはそれで多忙になって、映画を観るゆとりがなくなっちゃってた。
でも観られないけど、映画のことを思いはしたね〜。
ジュール・ヴェルヌを原作とした映画で今もっとも観たいのはどれ?』
って〜な質問を自分に繰り出して、束の間ちょっと頭の中で楽しむんだ。
で。そのヴェルヌ原作による映画。
1958年の米国映画「From the Earth to the Moon」だろね、ボクには。
70年代も後半になった頃に、これは「宇宙ロケット帰還せず」という題で日本ではTV放映された。
監督が「宇宙戦争」のバイロン・ハスキン
主演は「第三の男」のジョゼフ・コットン。ヴェルヌの「月世界旅行」に出てくる主役の1人で武器製造業者たるバービゲンを名優コットンが演じてる。
砲弾で月へ向かうくだりは原作に倣い、ちゃんとコロンビアード砲も登場する。
砲弾を打ち上げるためにパワーXという爆薬が出てきたり、3人が乗ってると思ってた砲弾内に3人の誰かさんの恋人が隠れて乗ってて… と原作にないカタチで話が進み、3人が4人になったために月から戻れないというコトになって話が深刻になる。
実は70年代当時、ぼくは放映時にこれを録画したのだけど、その頃には何やらズイブンと退屈な映画に見え、実際、激しいアクションシーンなんぞはまったくない映画で、おまけにTV用にカットされてもいるから、あまり興味がもてなかった。
でも録画した。いつかまたチャンと観ようとの魂胆もあったワケだけど… それからもう30年だよ… テープはベータだ。(その頃は2時間テープ1本が3000円もしたよ)
すでに我が宅には動くベータ機がない。
ゆえにβテープこそあれ、観る装置はないワケだから… 観られない。
持ってるが観られないとなると… 観たくなるのが人間の心理だね。
この作品は日本ではビデオ化されなかった。
米国ではビデオに加えてレーザーディスクでもかつて販売されたようだけど、今は当然に絶版。未だDVD化されていない。
たった一度きり、TVで観ただけなので記憶もおぼろながら、19世紀末を舞台としているのが印象深かった。古風な舞台設定が良いではないか。ジェームス・メイスンが主役だった「海底二万里」や「地底探検」に通じるテーストだ。映画の中の時間も何だか緩やかに進んでるような気配があった。
で。この映画最大の見所はといえば…、な〜んとジュール・ヴェルヌ本人が登場するくだりだ。
もちろん役者さんが演じてるワケだけどね。ヴェルヌその人が出てくる映画というのがイイじゃないですか。
だからこそ… 今もっとも観たい映画なワケだ。いや、たぶんね、観れば観たで、期待を膨らませた分、ガックリも大きいようにも思うのだけどさ。かつて作られた作品が今は観るコトがかなわないというコトよりも、そのガッカリは小さいよう思えるんだ。