連休中の閑話休題

島根ではスルメイカが昨年の7分の1以下しか獲れないらしいし、ウナギも不漁が際立つそうだから… なにやら黒潮に異変があるのかしら?
今日で母が入院して2週間。
スーパーの鮮魚売り場でちょっと海を思い、地震を心配する。
病室から後楽園へ直行。
旧知の演出家・東敬一演出の「遠野物語」が鶴鳴館で演じられた。
鶴鳴館(かくめいかん)は去年のOJF(ジャズフェス)で使ったから、およそ1年ぶりだな…。
風が強い。でも後楽園の緑が目映く、なかなか気持ち良い。
遠野物語」。
柳田國男が採取した怪異な伝承譚。その幾つかが芝居として編まれ、舞われ、語られた…。
そういった題材がゆえにあえて明治時代に作られた鶴鳴館の畳の部屋で演じられた。
下の写真は直前の最終リハーサルの様子。直前のピリピリした空気がいい。
ところで… 後楽園正門を入って左へ歩くと、鯉のエサやり場がある。
水面に接して石作りの小さなお立ち台があるのだけど、この石組の底に体長1mを越えた大ナマズがいて、こいつは大正末期からそこに居る。
これを見た人はほとんどいないけど、数年に1度、見た人が現れる。
そいつは深い池の底から大きな丸い眼で上を見上げ、エサに群がる色とりどりの鯉を下から眺めて、フッ、と鼻で笑ってる風情だった… という。
何年だか前の鯉の伝染病騒動で後楽園内の池は全部水を抜かれ、魚たちは一掃一新されたらしいから… それで、この柳田國男的な口伝としての、あるいは都市伝説としての大ナマズの話は… 絶たれて消えた。

先日に、ジュール・ヴェルヌノーチラス号についてを、TVC-15のホームページに長々と掲載した。

ヴェルヌの、とりわけ『海底二万里』に接近出来るようにと記したつもりながら、いささかまとまりに欠けるし、不足もあるのだけども… それはおいおい是正に追加に、するとして… ヒマあらばご一読を。

でも、「遠野物語」の奇怪なオバケ譚に接した後ゆえに…、例の高名な、ノーチラス号が大ダコにからまれてナンギする話も載っければよかったか… と、ちょいと思ってみたりもする。
活劇として面白いというのではなく、船員1人をタコにやられ… ネモの復讐心に疑念を抱く当のアロナクス教授そのものが、それで大発奮。我を忘れて復讐に燃え、斧を振ってデッキ上で暴れ廻るのだ。
相手がタコではあるにせよ、復讐という意味合いで、ネモに不穏をおぼえていた人がその復讐に投じるという… ここは、人間の心理をよく描いた傑出部分なのだった…。人間の二面性を浮きぼった、意外な名シーンなのだった。
ちなみに、この大ダコの襲撃シーンのタコ数は… 1匹じゃない。
なんと12匹だ、ぞ。