魔法瓶 〜ボンカレーと冥王星〜

魔法瓶。
今に思うに、この名はすごいね。
オリジナルの名は、Thermos Bottle。熱力学の応用だからサーモをちょっと変化させたってワケかな。
これが日本じゃ魔法瓶。
いい名だ。
今はもっと魔法めくな商品がなんぼでもあるんで、
「魔法ラーメン」
「魔法包丁」
「魔法味噌」
なんでも魔法にしちゃってもイイのだけど、そうはならないのも、ま〜、ヨロシイ。


ならない… といえば、この前やっとジャガイモを掘り出したんじゃあるけど予想したより大きくなってない。
原因はわかってる。
育ちはじめた最初の頃にいわゆる"芽かき"をやって、緑の芽と葉を1本か2本だけ残して後は全部抜き取れば、でかいのが採れる。
これに手心をくわえたのがいけなかった。せっかく芽生えた緑の茎を抜き取るのを惜しんだワケだ。
なんか、そうそう芽かかなくとも大きなのが実りそうな予感がしたんだけど、やはり予感じゃ〜、育たない。2本残すところを4本残した結果がこれ… 魔法以前のお話だ。
とはいえ総量は3Kg弱。全部カレーに使うとなると… 5皿分のカレーが5回くらい造れそうじゃあるから、嬉しいのじゃあるけど、なにより、土を掘り返すまで、どれだけ出来てるのか皆目わからんというのがイイのだ。掘ってはじめて味わう大判小判がザ〜ックザックな喜色は、ちょっと例えようがないな。


カレー次いでを云うと… この前、数年ぶりでボンカレーを買ったけど、ぁいや〜、知らなかった。
今のボンカレーは、あのやや銀色なレトルトパックのままレンジでチンしちゃえるんだね。というか、もはや、それを前提で作られて、お湯まったく不要。あらま〜。
魔法というか発達というか便利というか… ボンカレーよりは「大塚の魔法カレー」という名がイイのじゃないかと思うほど進化しているのに驚いた。
でもパッケージはあいかわらずだ。
なんかモノ足りない。けど、別にどうでもいいような気もする。だがしかし、この箱絵をみると、ボクにはきまって『仁尾の太陽博』という一語が出てくるのは何故であろうか? 
ニオノタイヨウハク。


※ 『仁尾-太陽博』。香川県仁尾町で1981年から83年まで開催の、太陽熱発電をテーマの博覧会。(太陽光発電ではないよ)オイルショック後に国が推進した太陽エネルギー活用の「サンシャイン計画」の旗振りパーク。ドド〜ンと置かれたハリボテのスフィンクスが実に意味なくつまらなかったぞ。
潤沢に税金を費やしたものの、熱が冷めたか太陽熱…。せいぜいお風呂の湯が沸く程度の成果で、期間終了と共に計画も消えての無駄遣い。
でも今は、去年になって、3.11のショックを受けて、その跡地に太陽光発電のメガソーラーが出来ちゃった。
原発復活の声に押されて… また熱が冷めなきゃよろしいが… と少し心配。


ボンカレーの箱絵に太陽を感じるかといえば、そうでもない。でも、ちょっと右下のでっかい丸っこいイラストが太陽っぽいと思えば思えないこともない。大塚食品の社史を読むにこの丸は"おいしさ三重丸"らしいが、意味されるコトとデザインが結ばれない。意図は判ったがカタチが示すであろうはずの意味に乏しい。目立つといえば目立つし、つまんないと思えばまったくその通りなパッケージ。なんとなく無難なパッケージになんとなくな『仁尾の太陽博』。
でもまた一方で、スーパーでなんとなくカゴに入れてしまいそうな、なんとなくゆえの… 魔法もあるような感も少し。



月は地球に対して楕円軌道で周回する。そのために潮力に差が出て、海に波ができる。温度さが生じて風をおこす。気候に変化をもたらす。常に活性化される。
地球と月がもしも真円軌道で引き合っていたら、波はなく、海水をかき混ぜるものがないから、海は腐っていく。わたしらは生きてられない。湘南にサーファーは育たない。
いまNASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」が冥王星に向かっていて、これは来年の今頃に到着して冥王星界隈、すなわち太陽系外縁部を観測しはじめる。
これが打ち上げられたのは2006年。奇しくもその8ヶ月後に、ながらく論争され続けた冥王星の"位"についての結論が出て、惑星の座から準惑星へとザブトン1枚とられて降格されてしまったのだけど、探査の価値まで降格するわけはない。
その冥王星の衛星カロンは、真円状態の安定した軌道で廻っているらしい。
したがってこれは波風たたせようとも、たてない状態だ。いわば綱引き合戦で双方の力が拮抗した状態。綱は動かない。誰も入っていないお風呂の水面のようにシーンとしちゃってピクリと動かない。
凍えきった星だから外見上は液体なんぞはないと思われている冥王星だけど、それでもはるか昔、カロンが真円軌道じゃなかった時期もあって、そうすると、冥王星は過去、カロンから何がしかの影響を受けている。
地表の下に水分があれば、それは生じた潮力によって熱せられ冷まされを繰り返す。
冷え切った彼女の背中を撫で撫でし続けたら次第にそこが温もるのと原理は同じ。やがて彼女の背中は紅くなる。
おのずと冥王星も紅くなるとは限らないが、地表面に影響がでてくる。摩擦熱で水が沸きたち外にこぼれでる。
もし、冥王星の地表に線上のヒビがみつかるようなら、それはかつて地下に水があった、あるいは水があることを示す証拠になる… というような縄文や弥生の人にとっては魔法術みたいな探査をNASAはまもなく始めようとしてる。
なかなか壮大でよろしいじゃないすかね。
下写真はNASAによる想像図。いまだ冥王星のシャキっとした写真はないんで、それゆえ「ニュー・ホライズンズ」の活躍に期待高まるというワケだ。

冥王星と地球との距離はざっくり云って50億キロ。(ちなみに地球と月は38万キロ。比較にならない)
ボクとあなたがデートして冥王星に行きましょうというコトになって… 車で法定速度を守って時速50Kmで休みなく走ったとして… 冥王星に到着するには、1万年かかる。
マジかよ〜。
マジっす〜。
100Kmで走ると、なんと5000年で済むけど… それでも、
メチャ、遠いね〜。
遠いっす〜。
どっちみちとてつもない時間。車検が切れちまう。と、その前にハイオクガソリンどこで給油するんだ〜〜、という以前に恋愛終わっちまうよ〜、と… ま〜、人体速度換算でいかに遠いかというハナシだよこれは、あくまで。
そこを「ニュー・ホライズンズ」は概ね8年で到達なのだから、これが如何にスピード違反だかがよく判る。
(2007年に木星近くを通ってスイングバイ。これで加速し、毎秒23キロ(!)進む高速物体になった。1分で1380キロ進んでしかもガソリン使わない。投げられた石同様に勝手に進む)
いや、何がいいたかったかといえば、魔法瓶を含め、科学というのは面白いな〜、ということだけなのだったけど、ちなみにこの前、スーパーのボンカレーの値札で気づいたんだけど、大塚食品には親会社があるのね。どういう次第かこのスーパーマーケットじゃ、値札に親会社の名を書いてた…。
大塚化学 ボンカレー辛口 130円」
ぅぅむ。これに関しては… 化学じゃなく食品の方を前面に出して欲しいよな〜、なんとなく。


上は、アンティックショップで買った1950年代末の魔法瓶。当時米国で売られた日本製の安物。プレスリーパット・ブーンのシングルレコードのパッケージがプリントされて… 全高34cm。このみっともないPOP感とデカサが好き。米国の田舎の眼元にそばかすいっぱいなティーンエイジャー女子が使っていたかもと思うと何やらかわいらしくもあって。