はまち冷急車


先日、福子さんが新市民病院からリハビリテーション病院へ転院したのでまた見舞いにというか、"見学"にいった。
この施設も真新しい。
広い談話室は良い感じ。
あいかわらず福子さんは元気印。介護入浴の状況を面白オカシク語ってくれて大爆笑させられた。
その談話室の、大きな窓の向こうに妙な車輌が留まってる。

ハマチ冷急車。
霊柩車ではないけど、病院のそばにレイキュウというのがおかしいので、足の裏をコチョコチョされたようで、つい笑う。
絵がいいじゃ〜ないの。
恵比寿サマと福禄寿サマだか布袋サマだかが、ニコヤカに、赤みだけどハマチらしきをめでていて、な〜かなか日本的。
最新鋭の専用冷凍車にこの意匠。
それでボクはひそかに、芥川龍之介の『かちかち山』と宮崎駿の『もののけ姫』を思い浮かべたりした。
体系化される神道以前の日本。形としての神社もお寺もない時代の、そこで暮らす獣や人の心象。
「童話時代のうす明かりの中に…」
と芥川が書き出したその遠い心象の世界は、あんがいとこんな片隅に、冷凍車の背面ながら、かすかに生き残ってるような感がしたと云えば大袈裟だけども… 妙な大らかさに小さな安堵をおぼえた。


と、それにしても今年は暑くなるのが早い。実家の庭池は水温が高いゆえ藻の発生も一段早い。それがホテイアオイスイレン(ティナ種)にからんで成長を阻害する。
もののけ姫』のあの太古の森の沼ではないから、水の循環を気づかわないとたちまち汚染がすすむ。
面倒なこっちゃ…。
でも… こっちゃけども、スイレンなどが葉を拡げだせば藻はさほど増えないから、"絶妙なバランス" という事を学ぶことは、ま〜、出来る。