チャーリー・ウィルソンズ・ウオー

 

 ここ数日、岡山市中区の白昼は何だか気抜けするような温かさ。

 東平島のはま寿司でお支払い済ませて外に出ると……、狐の嫁入り、陽が照りつつ雨が降る。

 陽気とにわか雨のダブルで、まさにキツネに化かされたようなヘンテコ感覚。

 「洗車したばっかりなのになぁ」

 チビッと恨めし顔も混ぜる。

 

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 トム・ハンクス主演の『チャーリー・ウィルソンズ・ウオー』を2度観て、次いで、原作のノンフィクション『チャーリー・ウィルソンズ・ウオー』、上下2巻を読む。

 

 

 テキサス州選出の下院議員チャーリー・ウィルソン(1933~2010)の実話。

 この型破りでアルコール依存症の議員と、同じく型破りな官僚ガスト・アヴラコトス(映画ではフィリップ・シーモア・ホフマンが演じてた)が、さらに型破りなテキサスの富豪女性ジュリア・ヘリング(映画ではジュリア・ロバーツが好演)が、アフガニスタンに侵攻したソビエトに抵抗している同国のムジャヒディーン戦士らを支援する話。

 

 米国が直接に介入することが出来ない性質ゆえ、CIAの秘密資金を活用し、パキスタン経由で軍資金を操作し、武器を用立てて戦士らに提供していくのだけど、当初の秘密裡の予算500万ドルは支援拡大と共に10億ドルを越える大規模なものとなって、結果、ソビエト抵抗勢力の強靱さに根負け。ブレジネフ政権からゴルバチョフ政権に代わったコトともあいまって、撤退していく……。

 チャーリー・ウィルソン達の驚くべき熱意あっての成果ではあったけど、しかし、米国政府はソビエトが撤退するや、支援をやめてしまう。

「破壊された生活基盤を立て直すために、今度は武器じゃなく、学校を建てなきゃイカン」

 と、映画の中でフィリップ・シーモア・ホフマン演じるガストが懸命に主張するのを米国議会は、

「もう勝ったじゃないか」

 一笑に伏して認めない。

 

 さぁ、その結果、ソビエト撤退後のアフガニスタンではイスラム原理主義者が台頭し、かつて米国が提供した武器で武装し、アルカイダといった組織までを生む土壌となって、挙げ句、9.11の惨劇へと導線がひかれてしまった……。

 キリスト教的史観での一善としての武器供与が、別宗教史観による「権力強化」に変じていく実例とも見えなくもないけど、ともあれど、チャーリーやらガストのキャラクターが素晴らしく面白く、映画を観たさいは、

「ホンマかいな?」

 と訝しみ、それゆえ原作のノンフィクションを読んだワケだけど、あらま~、ホンマに映画の通りの方々だったようで(議員と富豪女史はセックス・フレンドだわさ)、いささか呆れぎみに感心。日本にはセックス好きな議員はいても、信念もって動く政治家も官僚もいないイナイば〜、っぽいから、やや目映くもあった。

 

      

 

 トム・ハンクスは実際のチャーリーに風貌が似てるなぁ。

 と、それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマンはやはり素晴らしかったな。上司に反撥して一暴れする辺りの演技がチャーミング。早く逝きすぎたわい……。あらためて、惜しんだ。

 

 アフガニスタンで活動中の実際のチャーリー。この善意が結果としては……。う〜む、と考えさせられ、じゃあ、どうすれば良かったのか、というあたりで白々しい気分に墜ちもする今日この頃。   

 写真:ウィキペディアより