夏シーズン、イヤなのは、手当たり次第に蜘蛛が巣をはるコトかいねぇ。
街中で暮らすと遭遇率は低いけど、チョイ郊外のヤヤ緑多きな環境下では、大小中の蜘蛛がアチャコチャ出没。ザ・スパイダースの連続ヒットだよ。
雨あがり直後にはいっそう増える。
昼間は眼で確認できるけど、夜は庭先なんぞで始終、これにからまる。
朝まだき、郵便ポストの新聞を取りにでると、ほぼ100パーセントちかい確率で、糸にからまる。
たいてい、顔や頭部にからまる。
絹でも木綿でもない蜘蛛のネバネバな糸。
不愉快この上なし。
時に小さい蜘蛛がそのままくっついて、なんかアタマがモゾモゾするぞ……、取っ払うのに躍起になる。
芥川龍之介は一本の銀色をした蜘蛛の糸を描写し、ヒトの傲慢というか自己中心な振る舞いに継承をならしてくれたけど、我が宅では蜘蛛の糸はヤッカイの代名詞。とてものこと、庭先から天に登れない。
そんな次第ゆえ、夜の庭では両手を前に突き出してクルクル回転、エア・クロールさせたりして、見えない糸を断ち切ろうと努力する。
はたから見れば、あのヒト何やってんの? みたいに見えるだろうが仕方ないじゃんか。
庭池には水面ぎりぎりのトコロに糸をはる蜘蛛もいる。
こやつらは池に落ちても平気で、忍者のように素早く、また元に戻る。ミズグモというヤツかなとも思うが、さだかでない。
さらに、水面にはアメンボがいる。
両者よく似ているけどアメンボは足が4本だ。
どっから湧いてくるのか知らんけど、アメンボも春の終わりから冬前まで、複数がいつも浮いている。
水飴の香りがするから飴坊(アメンボ)というらしいが、嗅いだことはない。
カタチや素早い動きがやや蜘蛛に似ているので好感しないけど、糸を吐くわけでもないんで退治しない。
でも時々、棒で追ったり水を掻き回して困らせたりは、する。
蜘蛛に向けての、嫌悪の代用か?
であるなら、アメンボには迷惑千万な話じゃあるけど、庭池に住んでイイよと云ってないのに住みついてるんだから、時に木切れで追われても、ま~、我慢せぇ~よ……、というのもナンですかなぁ。
1966年放映の『ウルトラQ』第9話のタイトルは「クモ男爵」だったねぇ。
森の奥の古い西洋館という舞台設定で、趣味として世界中の蜘蛛を収集する男爵(だから明治期のヒトだよね)の悲劇を下敷きに、主人公達がでっかい蜘蛛と遭遇する怪奇仕立てが印象深かったけど、もう何年も観てないなぁ。
白黒からカラー版に置き換えたDVDを、だいぶんと前にKuyama殿下から貰ったのを思いだした。
なので探し、取り出して、観てみたよ。
番組の終わり、石坂浩二のナレーションは下記の通り。
「悪魔の使いとして恐れられている夜の蜘蛛には、人間が変身したという悲しい物語があります。人を襲うのは人間に返りたい一心だったのかもしれません。あなたの庭先で、夜、蜘蛛に出会っても、どうぞ、ソッとしておいてください」
うむむ。
そりゃま~、ソッとしてあげたいけど……、ネバネバな網目はねぇ、勘弁して欲しいなぁ。
近頃ロシアと北朝鮮は「包括的戦略パートナーシップ条約」というのを結んだけど、そんな暴力維持の暴力前提のお友達関係締結じゃ~なく、蜘蛛と当方も何か平和的双方向不可侵条約っぽい取り決めが出来たらイイなぁ。
我が宅上空15mの場所で巣をはってもいいし干渉もしないけど、我が顔や頭高での巣作りはダメ~とかいった条約……。
無理ですけども。