連休狭間に

 

 5月の連休はどこもかしこもヒトが多く、出来るなら寝て過ごしたい。

 寝正月のように、寝連休が望ましい。

 けど、そうもいかない。1月と違い、5月ともなれば、陽気が勝って温かく、ウチにこもってるのが不健康のような気がしてしまうから不思議……。

 この数年の5月連休は、柔道家の車に乗っかり、福山の友人宅に向かい、友人の亡き妹さんの神前神道なので)に献花し、それから近場のどっかへ、友人交えて出かけるというのを繰り返している。

 当然、ヒト多し。

  人みな集い、群れて同じゅうする。

ガリバー旅行記』にそんな一節があったっけ。

 こたびは5月初日、しまなみ海道をわたり、生口島に降りる。

 終日の

 サイクリング・ロードをカッパからげて駆ける方々はケッコウいるものの、意外や、ヒトも車も多くなく、拍子抜け……。これひとえにゆえか?

 天気がよくってヒトの出が多いと、午前中に売り切れると噂の、しおまち商店街・玉木商店のローストチキンにもありつけ、ラッキ~。

 即座に頬ばる。

 ごく最近に400円から450円にと値上げしたようだけど、すぐに食べると告げると店主さんは食べやすいよう切り分けてくれる。でもボリューム絶大。路上にて大口あけて囓りつく。焦げた表皮と中の柔らかい肉のコントラストが艶やかで舌は大喜び。

   

 

 傘さして耕三寺の広い境内をめぐり、冷んやり空間の地獄トンネル抜けて大観音菩薩像の足元に出て、大理石庭園の「未来心の丘」のテッペンまで昇った頃には、シューズもズブ濡れて重みを増し、かなり不快。

 されど、大理石の丘に幾重と咲いたジャスミン(たぶんハゴロモジャスミンの香りが、不快を解消してくれる。

 開花が早いよう思えるけど、温暖な内海の山の頂きだから、雨でなきゃ〜日光具合と温度具合はサイコ〜なんだろう、と同行の一人がいう。

 前を行く手をつないだカップルは甘く品あるジャスミンの香りに気づいていないようで、大理石ロードをスタスタ歩いてらっしゃる。……もったいない。

 もうチョいっと左側を歩けば、きっと気づくはずなんだけど、惜しいな、損したなぁ、このカップル。

             

 耕三寺の山の頂上、彫刻家・杭谷一東氏の「光明の塔」の足元に立つ。雨に煙っているとはいえ、生口島全域と島々を見下ろせ、眺め壮観。

「大理石のお山の大将、俺一人」という感触を味わう。

 けども、これを英語にしちゃうと、

 General of Marble Mountain, I'm the only one.

“大将”という悪ガキ感がBad Boyではダメなワケで、ジェネラル(将軍)という律儀な単語でしか表せずで、ぅ〜ん、ザンネン。

 英語はアイマイなユーモア含有な下地がないんだ、なっ。

 

 レモンの島たる生口島ゆえ、ポストもイエロー。

 このポストの近くで、カゴいっぱいテンコ盛りのレモンを500円でゲットし、また車上のヒトとかし、移動、大三島にわたる。

                    大三島橋

 雨降り止まず……。

 宮浦の小さな港すぐそばの「よし川」で、海鮮を味わう。

 同店は家族経営&運営で、1時間待っても席につけずの人気スポットらしきだけど、3分と待たずに入店でき、これまたラッキ~。

 ビッグフットは4分でペロリ海鮮丼たいらげ、福山住人は牡蠣唐揚げ定食を30分かけて食べる……

 

 食後に大山祇神社に詣でる。

 ここに来るのは何十年かぶり。

 大山祇と書いてオオヤマヅミと読む漢字の難しさというか難解さに同行者一同で、

「判っからんなぁ。祇って、ギ、以外読めんがなぁ」

 ブ~ブ~、いう。

         樹齢2600年と書かれている、外周200坪越えのでっかい楠の威風

 この神社は日本の山々を崇める神さんの総代。

「祇」とは地の神さんを示す古語であるのは知ってはいるけど、それを何で「ヅミ」と読ませるのか……、釈然としない。

 ほかの使用例もなく、唯一この神社のみ「祇」が「ヅミ」になる不思議。

「日本神話」の伊弉冉尊(いさなみのみこと - 伊弉冉(いざなみのみこ)と結婚した女性)の子供として生まれたのが、山の神たる大山祇命(おおやまのつみのみこと)ながら、「ツミ」に何で濁点ついて「ヅミ」になったのか、そこも不明で……、うむむ、ぉ、お、おもしろい。

 

 鳥居は「一の鳥居」、「二の鳥居」と2つあって、どちらもすぐそばの海に正面向けて建っているから、海神も迎えいれているのは確か。

「海神」と書いて「ワダツミ」と読む。

 ワダツミの「ツミ」との符合として「祇」と書いて山の神を示すと同時に海にも関わっているゆえ、「ヅミ」と、海陸を積み重ねたのかな?

 余談ながら、アカデミー賞とったゴジラ-1.0』での対ゴシラの作戦名は「わだつみ作戦」だったねぇ。

 

 とかとか、思ったりしゃべったりしつつも、とにかく、

「やんでよ、雨……」

 天を仰ぐんだったが、神さん味方せず。

 シューズもソックスもグッショ濡れ。足先冷えび〜え。

 降り止んだのは、帰岡し玄関ドアを解錠した直後。

 あまりのタイミング……。神さんの皮肉な薄笑いがチラリ見えるようで、当方もしゃ〜ない、にが笑う

 

 翌日、晴天……。

 前日の雨中の闊歩ゆえか、右足裏がひきつけ起こし、痛たたった〜ぁ。

 ゆえによ〜よ〜、寝て過ごせた次第。