フライト

 過日、夢で空を飛んだけど、これが喝采したくなるホド見事な飛びっぷりだったんで、目覚めてもしばしボンヤリ追想に耽るようなアンバイだった。

 仙境めいたのどかな庭先に希林さんみたいなニコヤカな老女がいて、お手伝いさんがいて、2人と会話した後、「それじゃ~チョット行ってきますわ」てな感じで庭の境界から眼下へとパ~ッと飛び降り、しばし両手を飛行機の翼みたいにマッスグ伸ばし滑空、ついでそれをユルリ羽ばたかせ、速度を落として今度は旋回……

 極めて自在に飛んでるんだった。

 夢見つつ、その自在っぷりに大いに喜んで、左右にシャキ~ンと両手を伸ばした金属モードと、ユルユル羽ばたかせる生物ハトポッポなモード切り替えを堪能しつつなフライトなのだった。

 息子がグレて家出しちゃい、今は1人住まいの老人宅が崖の上にある。

 そこにちょっと降り立って安否を気遣ってあげたけど、老人の姿はない。

 灯りがついてるから、ま~いいか、とまた飛んでく。

 

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 はるか眼下に肌色と朱色に塗り分けられた昔風味な2両編成のディーゼル車輌が鉄路を駆けてるのが見えるが、それは実物でなくって9ミリゲージの模型ディオラマだと、夢の中ではそう理解し、

「うまく造ってるなぁ」

 笑みて感心するのだった。

 でもって自在に飛べるもんだから、崖のさなかにトンネルがあるのを見つけるや、そこに滑りこんでくのだった。

 トンネルは長い廊下に変じ、奥の方でジャズフェスの司会をやってくれてる早ちゃんが、メガネの太った人物と話してる。

 そばに寄って聞くに、『シンドバッドの航海パート3』という映画とのタイアップ企画となるイベント司会を依頼されたけども、今年サイコ~の出来栄えと映画を褒めちぎるように主催側から云われ、

「そんなんやってられませんよ」

 断ったというようなハナシで、ひとしきり彼の口から映画のウンチクがこぼれ、ただのヨイショはしないぞな気概にあふれ、これまた頼もしくって笑みてくる。

 

 と、以上のような楽しくってしゃ~ない夢を見るのは久しぶり

 あんまりナイことなので書いておく。

 しかし、ヒトの夢の話ほどくだらないものもないだろう。そこに参加できるワケでなし。

 

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 幾つかあった年始パーティのほぼファイナルな席。

 同席の中に3人、昨年11月末の講演を聴いてくれた方々あって、方々ともに、

二宮金次郎のハナシがオモロカッた~」

「いっそ特集でやればイイのに」

 など、告げてくれる。

 実は年始の他会の席でも同じコトを云われた。

 木材史を語り、そのテーマに沿って里山に話題を運び、その里山で焚き木拾いつつ本を読んでる、明治期に全国の小学校に登場した金次郎の像に触れたワケだけど、大ヒット祈願で売り出したシングル盤としての『岡山木材史』が、フタをあけるとB面『金次郎-今昔像』に人気が集中しちゃって、あれ~? みたいな想定外。おもしろいな~。

 

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 パーティ翌日、毎年新春になれば会合してるK夫妻との茶話会。

 今年も我が自室にて。

 週末となればどこぞの高原だか山中で星を覗く天文家のハナシは、聞くたびに興味深い。

 遠方の星を観察するというのは、時間旅行に出かけてるようなものだ。星は過去の光、ライブで眺めつつもその光点は遠い過去の光景だから、自ずと過去へのフライトというワケだ。

 日々の恩恵がビッグな太陽とて、その姿は8分ホド前のもの。肌が感じる暖かさは8分前の熱……。

 どうにもボクにはそこが気になってしかたない。もどっかしいような妙ながつきまとってしかたない。

 以前にも書いたことだけど、今見てる星、例えばオリオン座のベテルギウスで例すると、ベテルギウスはひょっとしてもう存在しないかもしれない。阿鼻叫喚の断末魔の叫びをあげつつ崩壊し、超高温でもって分解しきって元素と化し塵となって宇宙空間に巻き散らかされてるかもしれない。

 地球で金(Gold)が価値あるのは、それが太古の昔の星が炸裂して超々高温になって生じた元素が、たまさか成形中の地球内部に閉じ込められ堆積したものだからで、地球産まれのモノじゃ~ないからだ……。

 だのに、地球上では終焉を迎えた星の顛末はまだ知れず、輝く光点として見えている、同時ながら同時でないその不思議……。

 ライブを見てるはずなのに実は記録映像をみているという奇妙に興をひかれてるわけだ。

 

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 天体望遠鏡を抱え持ったヒトは、たぶんその辺りの消息に1番に通じてるヒトのはず。それゆえ余計、K氏の話を聞きたがるボク。

 とはいえ毎度ながら、ベチャ~っとした話もオモチロイ。足が夜中に攣るとか、両足攣ったとか、でっかいゴジラ模型をどう収納してるとか……、楽しくも同情相憐れむな時間はいつもながら「あっ」という間に過ぎちゃう。

 

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 一方じゃ、ほぼ日刊なグダグダな楽しくないニュースの連打。

 グッタリするねっ。

 ニュースの発信元がグッチャラケなのが、さらによろしくない。

 首相の「辺野古のサンゴ移設」を真意の検証なく放映した事に関し、

「番組内での政治家の発言について、NHKとしてお答えする立場にありません。また、他社の報道についてはコメントいたしません」

 との公式コメントは、

『当方は報道機関じゃございません』

 と公言したに等しくはないか。

 けどもっとも尋常でないのは、NHK以外のマスコミ機関がこの重大事をさほど大きく扱わないという点だろか……

 ぅ~~ん。こういうのが束の間の風みたいに通り過ぎてってイイのかぁ?

 

 それでせめて夢の中じゃ自由でありたい……、みたいなことで空を飛んだのかしら?

 昔、モンキーズに「I Wanna Be Free 」ってのがあったなぁ。

 かの「モンキーズ・ショー」はベトナム戦が泥沼化してるさなかでの放映。

 ティーンエイジ向けなアッ軽い~番組で戦争もなくタバコも出てこないけど、彼らのデビュー曲「恋の終列車」はベトナム徴兵の忌避の歌だったし、総じてこのバンドの楽曲はラブソングに託しての、当時の若者の鎮痛な声の代弁だったかも、あるいは不安の焦燥をつかの間まぎらわすものだったのかも、と今は思えたりもする。

 


Davy Jones: In Memory "I Wanna Be Free"


恋の終列車 / Last Train to Clarksville  

 

 藤田淑子さん。天地総子さん。市原悦子さん。梅原猛さん……。訃報が続く。

 この前、12月31日には、小学校の同級生も1人。残念。