その昔、大の大人が土地転がしに奔走してバブリ~な頃、知りあいの県職員が書類一枚携えて、朝一の飛行機で岡山空港から千歳だか札幌に飛び、ロビーで先方の職員と待ち合わせ、書類を渡すと次の岡山行きで飛んで帰り、昼ご飯は岡山で職場の同僚らと食べたけど、北海道へ行ってスグ帰ってきた事は彼の上司しか知らないという、まこと忙しなく、はなはだ税金無駄遣いな実話があって本人からそれ聞いてめんくらったコトがあったけど……、なんかその記憶に触発されたのかどうかは知らないけど、夢の中、やはり飛行機で北海道に行き、模型の工作道具が入ったバッグを提げてタラップを降りて、誰かと会ったら、
「誰でも出来る仕事なんですけど、いや~はるばるお越しいただき、ありがとうございます」
そういうもんだったから、カチ~ンと来て、踵を返し、タラップをあがって飛行機に戻り、ちょうど客席に出てきたパイロットに、
「運転手さん、岡山にやってよ」
また機上のヒトになるんだった。
夢はそのあと、さらにオモチロク展開し、機内で祈とう師みたいな格好の老婆に声がけられ、特別室のような所に連れてかれて、
「先生っ、よろしくお願いします」
なにやら特殊な弾丸の中に黄色い毒薬を詰める作業をして、老婆を喜ばせて感謝されるのだった……。
夢とはいえ、金属の治具が実にリアルで、溶けた黄色い液からあがる煙とかの充満っぷりも良く描写され、窓には換気扇が廻ってるんだった、飛行機なのに。
こういう夢を見るのは、タ・ノ・シ・イ。
ホントはエロっぽいのを見たいけど、たいがい見せてくれないのは、ボクが真面目なヒトだからだろう。
てなコトもあって、ボルヘスの『夢の本』をチラッと、読む。
ケッタイな展開が載ってる。でも、さほど面白いとは思わない。
ヒトさまの紡ぐ夢より、自分の夢の方が面白いからかも知れない。
けども、自分の夢はいつだって未完だし、すべてを憶えてるワケもなく、あくまで断片。
ボルヘスのは断片といえば断片だけども、「物語」のカタチに向かって収束してる。あるいは収斂してる。不完全でない。
ま~、そのあたりが本の本たるポイント、夢みたままじゃ~”作品”にならない。
映画同様、そこに編集がなきゃダメだろうし、あるいは模型同様、ただ貼ってくだけじゃダメだろう。
そういう事を読み取れたら、良し。
やはりその昔、模型イベントで東京出張し、帰りの新幹線の中で甘い泥のような眠りに落ちてケッタイな夢を食み、フト目覚めて数秒、自分が新幹線の中にいるコトを見失い、
「えっ? あれ?」
むしろ、その現実が夢の中みたいな思いになったコトがあって、そのさいの夢なんぞはもう忘れちまったけど、目覚めた途端の、
「あれ? ここどこ?」
迷妄した感触は今も忘れない。むしろ、その瞬時の混乱こそが面白いし、ボルヘスもそこを咄の芯に入れてる。
本日は夕刻より某委員会の会合だけど、同時刻はちょっと用あって出席出来ず。
でもガンバッて、会合後の奉還町の飲み会にゃ~参加しようと調整中。馴染んだ店でチャカポコなごむのはメッポウ好き。そういう席でのハナシは常にアッチャやコッチャにヨタヨタ飛ぶんだけど、断片のその飛びっぷりも好き。ま〜、ヨタバナシっていうくらいだもんニャ。