明石天文科学館


日曜日。明石天文科学館の湾曲構造の大きなプラズマ・ディスプレーで「はやぶさ」の活躍する映像を観る。
天文フアンには常識なのだろうけど、さほどに天文の知識がないボクには、映像の中のイトカワという小さな天体が大きなものとして眼に映えた。
ピーナツのようなそれに「はやぶさ」が近寄っていき、それが落とす影がイトカワのピーナツ皮の上にうつっているというCG映像が迫力タップリ。眼がくぎづけられる。
この日、科学館でちょっとしたトークを行なわねばならなかったのだけど、お客さまが入場する前にその映像を観て、ただただ息をのまされる思いになった。
前日のTVニュースで、回収されたカプセルには1ミリ以上の大きさをした採取物がはいっていないというコトを聞いていたので、付き添ってくれた当館の名物学芸員の井上氏にそのコトを告げると、氏はかわいい小犬が笑っているような実に良い笑顔をみせて、
「いや、それは実は想定されていたんですよ。空中に浮遊したチリを採取することが主眼だったので、1ミリという大きなものじゃないんですよ」
と、眼の中やら縁にやらに、炯々とした希望色を灯してそうおっしゃるのだった。
アポロの模型を諸々作っていたボクは、採取されるものが"月の石のような確固とした個体"だと思っていたもんだから、またそれで、
「あら〜!」
感嘆した。
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明石の天文科学館は市民に愛される館だ。
それは、ここに集う「星の友の会」の面々の層の厚みによく示されている。
若い人もいれば、ボクよりも年齢が高い方もいる。
男性がいる。
女性がいる。
髪がフサフサの人、ちょっと薄い人、カッコいいシルバーの人… 会を構成する層が厚い。
しかも熱心。
だから、気持ちがいい。
お会いし、お話しすると… まだまだこの方々と共に過ごしたいな〜という嬉しさが募る。
今回は模型のお話しをさせてもらったが、機会あらば逆に、ボクはこの科学館の皆さんから星の話を聞きたい。いっぱい聞きたい。
トークショーを終え、昼食にと近場の"明石焼"の店にいくと、カウンターや壁に科学館のポスターやらやらが貼ってあって、店のママも何だか誇らしげに館のコトをおしゃべりされる。
後、館に戻って4階のベランダに出ると、あいにくの曇り空だったので、そこに並んだ新造の日時計の数々でもって"時"を学ぶコトが出来ない。でも、日時計は太陽が輝ってなくちゃ機能しないってコトを学んだワケだから、これはこれで損じゃない。
いい施設だ。
いい人達がいる。
明石は素敵だ。