長年、米国のDropbox.incのオンラインストレージを利用してた。Dropbox Plusという有料プラン。
重宝してた。Macのデータ・バックアップをここに置いていたワケだ。
なにより良いのが、かなりな量となる写真データを「安全」に保存できるという点だった。
いつでも取り出し可能なので、撮影に使ったiPhoneやMacには、容量を食うのでデータとして残さなかった。
バックアップというよりは、クラウド上でのハードディスクという感じで使ってた。
ところが去年の10月某日、肝心のDropboxに突然アクセスできなくなった。
ログイン出来ない。入口ではねられる。
「無効なメールまたはパスワードです」
と、エラー表示される。
おかしい。
そんなハズないとDropboxの管理画面を出し、パスワードなどのリセットで復旧させようとすると、
Sorry, this account is disabled.
わりぃが、このアカウントは無効だよ、との素っ気ない文字が出るっきり。
「へっ? どういうコト?」
Dropbox.incのサポート係に、メール連絡。
自動返信で、
「解決方法について、すぐに連絡いたします」
との日本語の返事。
けども、待てど暮らせど、その後の連絡なし……。苦々しい思いを風船みたいに膨らませ、それでも待ってたら、ようやく2ヶ月経った12月のアタマに、返事がきた。
今度は英文。
Hello,
Dropbox’s Acceptable Use Policy prohibits, among other things, use of the Dropbox Services in conjunction with materials that are “unlawfully pornographic or indecent” or which “violate the law in any way”. Your account was determined to be in violation of these policies. In accordance with our Terms of Service, Dropbox reserves the right to terminate your access to the Services without notice when you are in material breach of our terms, when providing notice would cause Dropbox to incur legal liability or compromise our ability to provide Services to other users, or when we are prohibited from providing such notice by law.
Regards,
Lotte
要約すると、こうなる。
Dropboxは、「違法にポルノまたは下品」なもの、または「何らかの形で法律に違反する」諸々を禁止しています。
あなたのアカウントはそのポリシーに違反していると判断しました。当社の利用規約に従い、Dropboxは、お客様が当社の規約に重大な違反をした場合、Dropboxが法的責任を負ったり、他者にサービスを提供する当社の能力を損なう場合、通知なしにサービスへのアクセスを終了する権利を留保します。
よろしく
ロッテより
ポルノ・エロ画像? そんなものをバックアップなんぞしないわい。
だいたい、この頭ごなしの対応って変ではなかろうか?
当方が収納している、どのファイルが不法なものなのか、そこはまったく言及なし。
返信者は、ロッテと記してるだけで、名なのか性なのかも判らんチン。どういう部署のヒトというのも判らん。
あれこれ推察するに、亜公園関連の資料収集として、江戸末期~明治にかけての職人さんたちの刺青姿の写真を集めて、それを1つのフォルダーにまとめてはいる。それをDropboxに収納してはいた。
そこを怪しまれたか?
しかし、当時の職人さん達のカタチを知るそれは大事な資料。身体に彫り物を入れることで仕事としての誇りを見せるという心意気や気質みたいなものを示している。
明治中期の木材を扱う職人さん、大工やとび職の方々といった話をするさい、これら写真がなにより大事、そういった方々をまとめて岡山最大の木材業者となった片山儀太郎を物語るチカラを持つと思っていた次第だ。
儀太郎さんの背に彫り物はないと思われる。彫り物をいれた方々を束ねてまとめ上げている、そのチカラに言及したいがため、当時の風俗を学ぼうとしての写真収集だ。
当時、刺青は反社会的なものじゃなかったし、明治になって日本にやって来た写真家の多くは、その”美しいタトゥー”に着目し、写真におさめてる。
それを明治時代の風俗資料の1つとして、集めていたワケだ。当然もちろん、エロい画像じゃない。枚数とて50枚もない……。
Dropbox.incは、おそらくA.Iでもって、
「違法なポルノまたは下品なもの」
を監視し、探査し、それに類じた写真が入ったフォルダーを見つけ出して、
「Dropboxサービスを使用することを禁止」
したんだろう……。
そう解釈する以外、まったくサッパリ思いあたらない。
なのだけど、同社からは具体的指摘は何1つなし。
これはひどい。
なにより困ったのは、いっさいがっさい、こちらのモノなのに、それを取り出せないコトだ。
亜公園探求で関係している複数の方々とは、Dropbox内のファイルを共有(タトゥーのフォルダーじゃなく)してもいたから、彼ら彼女らもアクセス出来ない……。
おまけに、アカウントを停止されると、同社に解約を申し出ようとしても、パスワードすら無効化されているんで、自分の契約情報さえ読み込めず、いっさい手続きできない。
手も足も出ないんだ。
本人確認のためのパスワードが機能しないって、おかしいじゃないか、と抗議のメール(英文で)を送ったけど、まったく返事なし。
情報遮断のプーチンとこれでは同じじゃ〜ないか……。
で、およそ5ヶ月が経過。
さ~さ~、ところが、一昨日だかに、
「更新の期日が4月1日に来るんで、あんたの口座から引き落としの手続きをいたしまっせぇ~」
というメールがきた。
明快な理由も告げずにアカウントを停止し使えなくしておきながら、
「契約の更新なので、お金引き出しますぞ~~」
って、何なんじゃぁ。(2年ごとに更新し支払いする契約になっている)
アカウントを封鎖したのだから、先方の方から解約したんだと解釈していたのだったが、何じゃ~これは。米国のIT系企業って、こんなズルするのかぁ……。
あ・た・ま・に・き・た ・よ
ネットで検索してみると、似通う悲劇に陥ってる方がけっこういて、困惑やら激怒やら、怨嗟の声が幾重とある……。訴えは皆な、同じ。
自分の子供と風呂に入ってる写真を奥さんが撮ってくれたのがあって、ひょっとすると、それが「児童ポルノ」扱いにされてんのかぁ~、ウガァ~っ! 怒り心頭な方もいる。
そういう事例なり、我が身に生じたコトを思えば、Dropboxって、ダメ駄目のダメじゃ~ないか……、確信的に思えもする。
が、だからといって、この会社自体を責める気は、わかない。
私人・企業含めてDropbox.incは世界中で1億5千万を越えるユーザーを持っているそうな。
それゆえにも、データ保管を取り扱う一私企業としてその健全性を保つには、怪しむべきをカットするのは当然とも思う。プライバシー侵害という懸念もたっぷりあるけど、預かったものに“危険物”があるかないかをチェックするのは、ま~、許せる……。
システムとして導入されているらしきA.Iが、人間ならば判別できるコトをまだまだ了解しきれていないのじゃないか……、という一点で、当方はおそらくごく希れな“被害者”になっただけなんだろう……、とも思う。
しかし、A.Iが引っ張り出した“下品”なのを、最終的にはDropboxの担当スタッフがチェックするんじゃないのか。そいつがイジワルしたのか?
しかし、米国はタトゥーに寛容な国のはずだし……。
仔細がなぁ~にも判らないというのが大きくペケ。
ネット時代ゆえの悲劇というか喜劇というか……、ともあれ、亜公園の面影探索にアチコチに出向いて撮った何百枚もの、大事な大事な写真達が、この手元に戻ってこないという激痛めいた事態に、暗澹ゲッソリ、苦い顔で天を仰いでるんだった。
米国企業ゆえ、日本語がストレートに通じないのもイザとなったさいの大ネック。
Apple Store経由(当時はTunes)で契約したから、幸いかなApple経由でもって解約手続きはとったけど、今後はクラウド系ストレージは、もう使わないと決めた。
先方がこちらを“怪しい”と判定したと同様、こちらも充分たっぷり同社を訝しみ、
「Goodye Dropbox」
さようなら、と決めた。
ITアイティ~ITと時代先端の風は了解すれど、いざとなったら一方通行でしかないというのは理不尽。
クラウドの未来は暗いど
と、こたびは恨み節。