アポロ13号CM-2

アポロCMはご承知のように、帰還するとピカピカに輝いてた表面がボロボロになっちまいます。
ピカピカなのは表面にアルミ箔テープ(正しくはマイラー耐熱コーティング。お台所にあるアルミホイルとはちょっと違うが便宜上、ここではアルミ箔と書きますね)が巻かれてるからです。
アンガイとこれを間近で見ると、それほどに綺麗ではないです。テープとテープのつなぎ目がいっぱいあって、SF映画に出てくる銀ピカ均一〜って感じじゃないです。
そのアルミ箔テーピングの下はエポキシ・フェノールという溶融性のある樹脂でCM全体がコーティングされてます。コーティングといっても塗られている次第じゃなく、CMの形状に成型されているものです。最大厚で5センチくらいあるそうで、大気圏に突入すると摩擦熱でこれが溶け出します。溶けていく事によって船体そのもの温度を上げないように考慮されてます。こういった科学は面白いですね。紙コップにお水を入れて熱したら、意外や、紙コップは焼けず、ちゃ〜〜んと水はお湯になりますのと同じような構造の科学、であります。
当然に表層のアルミ箔テープも焼けます。銀ピカだったのが黄ばんでチリチリになったり剥離したりもします。
その結果として、着水時の各種お馴染みの写真の通り、ヒデ〜〜状態となるのですが、ヒデ〜〜になるのが前提ですので、これは仕方ない。
だから、出発の時に較べてアポロCMは帰還時には痩せるワケです。前記のように最大厚5センチが奪われてるのですな。
アポロ9号あたりの写真を見ると、それほどに焼けていないのだけど、月に行って帰ったアポロのそれは概ね、よく焼けてますね。
ちなみに、CM部分とほぼ一体化している支援船(SM:サービスモジュール)はアルミ箔で覆われていなくって、アルミニュームそのものです。そんなワケでここは輝くばかりの銀ピカ〜リじゃないです。
余談ながら、2週間ばかりの旅で、このアルミニュームの表層もかなりダメージを受けるみたいで、アポロ17号の深宇宙でのEVA時の写真を見ると、アルミの表層が泡だつようにボロボロになってますな・・。恐いですな〜宇宙空間は。
というワケで、長時間に渡って旅したアポロCMほど、焼け後ボロボロって感じです。アポロ13号の場合は月まで行きましたが早々に帰還せざるを得なくなったので、ちょっと焼け加減がハンパです。ハッチ部分周辺にアンガイとアルミ箔が残り、背面はよく焼けてアルミ箔の痕跡がほとんどないですね。大気圏突入の進入角度と船体の位置関係でもって、このような状況となったのでしょう。ハッチ側よりもその反対側がより強く過熱したというコトなのでしょう。と、それにしてもボクらの日常でこれほどの熱に晒されて焼けるというコトはないワケで、とんでもなく凄いコトなんだな〜とボクはアポロの焼けこげ写真を見ては、その狂猛で苛酷な状況に思いを寄せたりします。