IPhoneの中の宇宙感覚


またも久しぶりに書いてますな。(笑)
携帯電話をiPhoneに換えて早や二ヶ月オーバー。
電話してたら途中で切れたり、メールが従来のようではないなど… 不満点はあるけれども、もう従来のモノに戻ることはダンコ出来ないな〜と体感として、そう申せる。
従来の携帯はあくまでもそれは電話でありメールであり、あとはちょっとしたアプリケーションが組まれたものに過ぎなかったけど、iPhoneたら、アプリケーションが常に刷新出来るし、それがただオモチャめくモノでなくって実用に価するモノが多々に含有されているから、使い出すと、もう従来に戻れない。
携帯電話ではなくって、これはパソコンめくモノであって、何年か前に、VISORを買って使い、足りた部分と足らない部分が眼にみえて判って… その間隙を見事に縫ってくれてるのがiPhoneのような感触がある。
VoiceNotesやら、諸々のアプリケーションをボクはiPhoneにダウンロードしているけれど、自身ビックラこく程に役立っているのが3つのアプリケーション。それをここに軽く紹介しておく。

○ iステラ
天体シミュレーション。販売されてまだ1週間と経っていない新製品なれど、「これこれ! こういうのを待っておりやした〜」と喜んでる。
20代半ばの頃にはかなり諳んじていた星座の名や位置も経年ですっかり衰えちゃって、秋だの冬だの深夜やまだ暗い早朝に天空を見上げるたび、
「さてと、あれは何という星やったかなァ。う〜ん…」と困ってた次第なので、これは速効なのだ。
見事なくらい美しい画面の上、指先で視点がスムーズに動くのもいい。北極星を中点にして実にうまく動く。これを見ると今までの星座早見表が遠くかすんでしまう、いわゆる天文フアンにはまだ足りぬ点もあろうかと思うが、天体嗜好症者としてはメチャに嬉しいアプリケーションだと思う。自動でGPSで場所を測り時間と共に星々もゆるやかに移動するから、室内で眺めているだけでも楽しいし、ましてや屋外で実際の夜空とを見比べながらの確認作業も楽しくて、これは凄いものを手にしたぞとホント悦んでる。紙製のやブリキ製の星座早見表を持っているけれど、その星座早見が携帯出来たらいいなぁとボクは常々に思ってたもんだから、このiステラは決定的だ。
有料で1000円という価格だけど、2000円だってボクは買ったろう。


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○ iEphemeris
月齢を表示するアプリケーションと書くと、なんだ月の満ち欠けを知らせるだけじゃんか… と、何でもないシロモノになっちまうのだけど、日々刻々の月と地球の距離が秒単位でもってディスプレーされるのが凄いのだ。ご承知の通り、月は地球の周回をやや楕円に近い形で廻っているから常にその位置は変動してる。その変動を、数値として刻々と眼で見るのは驚異だ。今日これを書いてる時、月はやや欠け始めた状態の、いわゆる居待月(いまちずき)なのだけど、さてその距離はといえば、今、おおよそ36万4835Km。概算として月との距離は38万Kmであるから今はかなり近い場所にいることになる。1秒単位で常に数100m可変しているのを眼にしつつ上空の月を眺めると、何事かカチリとまとまった思考ではないけれど茫漠とした"距離の感覚に裏打ちされた存在感"が滲んでくる。この感触を味わうがためのアプリケーションと、ボクは思ってる。ホントはユリウス暦とかいった数式でもって日数や曜日を計算出来うる基礎情報をもたらすアプリケーションなのだけも、感覚として"月とわたしの距離"に思いを馳せることが出来るからイイのだ。
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○ Stanza
いわゆる電子書籍だ。これだけのものが無料なのだから嬉しくもなる。
ボクは海野十三の全集を持ってるけれど、本棚の中にそれは鎮座させたままだ。文庫があればお気軽なのだけど海野作品は文庫がない。そこで幾つかの作品をこのアプリケーションを用いてiPhoneに入れちゃった。
「地球を狙う者」「大宇宙遠征隊」「大空魔艦」「太平洋魔城」「月世界探検記」「浮かぶ飛行島」「火星探検」「第五氷河期」「超人間X号」などなど、タイトルだけで浮き浮きしちゃう作品を持ち歩けるのが嬉しいぞ。
今読んでるのは「火星探検」。
画面を白黒反転させ、黒地に白の文字を浮べて読んでいる。
ちょいと昔の少年モノは主人公の年齢やらが判らないコトが多々でしょ。たとえばかの「鉄人28号」の正太郎君なんぞは、なんだか中学生めいているのに1人で屋敷に住い、車に乗る。しかも所有してるのはオープンカーで、あの昭和の30年代にそんな車輌がどれくらいの価格かを思うと、いったい、この正太郎少年の収入はいかほどなのかと… ついつい微笑んでしまうのだったが、おまけに彼は銃まで持っているんだからスゲ〜じゃん。海野作品にも似たティーストがあって、この「火星探検」に登場の主役は河合君と山木君。これに黒人のネッド君と中国少年の張(チョウ)君がからんでの冒険というのが基本なんだけども、いったい高校生なのか大学生なのか、あるいは小学生なのかも判らない。でも、キャンプに出向くといって車でコロラド渓谷に向けての珍道中を開始するんだ。免許あるのか? 親はどうなってんだ? てな子細はどうでもよくって、とにかく"少年たち"はボロの廃車寸前のミルク運搬車を改造して旅に出ちゃうんだからスゲ〜。これが道中で食費を稼ぐために大道芸を始めて、その出し物の名が「牛頭大仙人」といって、インチキな予言占いをするというんだからスゴい。
で、アレあってコレあって"火星探検協会長のデニー博士"と出会って… という何だか牧歌な空気が流れつつも結構に魅かれる内容のお話しなのだ。
この昭和20年の作品をiPhoneで読んでるという図式も面白いね。
どこまで読んだかをチャ〜ンと覚えてくれてるのもありがたく起動させるとすぐに続きを読めるのはすごくイイ。ページをめくるのもとてもスムーズで右端をちょっとタップするだけで次ページに行くし、その逆なら左端をタップすりゃいい。ストレスがない。
ボクはネットの「青空文庫」から作品を拾い出して収納してるけど、xhtml化されたテキストをこのStanzaは読み込んでくれるから活用次第ではもっと面白くなりそうだ。