MFLOG


7〜8年ほど前はFAXでやりとりしてた原稿校正が、今はメールやクロネコメール便でもって敏速な対応が出来るようになったから、便利になったもんだ。
この便利さと引き換えに、たぶん、何かもまた失ってはいるのだろうけれど、住まいが東京でなくとも東京とほぼリアルタイムでやりとり出来るのはありがたい。
トイズプレス刊行の「MFLOG」の原稿を完了させて、そんなことをフト思うのだ。
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「MFLOG」は数多のホビー誌にない、いわばワンフェスに特化した雑誌で、次号からはネットでのダウンロード販売も可能になる。
雑誌の形態としてそれは面白いし、なにより「MFLOG」には、現状における模型の最先端を一望できるようなところがあって、とても好ましいのだ。
大手の、量販物としての模型ではなく、少量生産ながらも鮮度が高く、技巧も高く、驚きが含有されるような、ワンフェスという場でしか接するコトが出来ない作品を紹介するという主眼が、ありがたいのだ。
大手のホビー誌には紹介されないけれども、キットではありながらオリジナルのアートの領域に踏み入れた作品がワンフェスには多数出品されていて、それを一冊の本なりデータにまとめる作業には大きな意義があるよう思える。
テンコ盛りの山のような発行部数はまだ望めないにしても、模型の現場の一番に熱い部分を直視している眼差しが、とても好ましい。
次号の「MFLOG」では数ページを費やしてアポロニア・ペーパーモデル・ミュージアム作品が紹介されるのだけど、校正ゲラでのレイアウトがすこぶるオシャレなので、これも嬉しい。

正直を申すとボクは、アニメ系ないわゆる女のコのフィギュアには興味がないし、そういった作品も混在する中での我がキットの紹介に、小さな抵抗もあるには… ある。
けれど、それは贅沢というもんだ。わがままというもんだ。フィギュアの作り手からみれば逆の思いもあるだろさ。
具象派と抽象派の画家が論争するようなもんだ。
「MFLOG」はいわば美術館としての役割を担っているから、どちらかが欠けるのはよろしくないのだ。
少なくとも、「MFLOG」は表層としてのブームに踊っていない。流行りに迎合しないのが好ましい。
小田雅弘氏や生島穀彦氏などの硬派な書き手が背景にいるのも、いい。
極めて真摯な眼差しがあって、俯瞰の眼と仰ぐ眼とのバランスがいいのも嬉しい。
てなワケで、「MFLOG」はお勧めの雑誌なのだ。何が売れているとかいった情報の仕入れ先の本ではなくって、模型界で一番に熱いオツユの滋味を味わえる雑誌と思う。