2010年だ

元旦といえば、日の出を見て拝んじゃうというのがこの国の一般的な形とは思うんだけど、ボクは新年になった数時間後、早朝の3時半くらいに外に出て月を眺める。
満月だよ。
冷たい風が吹いて雲がないから、西の空にいる月はクッキリと見えている。
2010年の月だ。
この日の月はおよそ35万キロくらいの距離にいる。
人間の尺度でいえば、ものすごい遠方だ。
「野口さんが宇宙にいます〜」
なんて云うけれども、彼が今滞在してるステーションは地表からたった400キロほどの高みに過ぎない…。
ボクが住まう岡山市から東京までの距離にも満たない場所だ。
だから、単純に"宇宙"というけれども、月が存在してる宇宙と野口さんが今いる宇宙とは、チョット違うんだ。
アポロ12号で月に出向き、次いで、スカイラブ2号で60日近くを"宇宙"で過ごした経験があるアラン・ビーンをして、
「それはまったく別物だよ」
と、申されてもいる。
「地球の外周を廻るコトと月へのフライトはまったく別の体験だよ」
と、彼は云う。
当然にボクは、そしてアナタも、宇宙を体験したコトはないんだけども、距離が及ぼす"体感"にボクは興味を濃く持っている。
見上げる寒空の彼方の月は近くに見えもするけれど、本当はとても遠いんだ。
月がありありと見えているから余計に距離が喪失して、野口さんの宇宙も月の位置もがゴッチャになるけれど… 月ははるか遠方なんだ。
その遠さを身体として知覚したアポロの宇宙飛行士たちがうらやましくもあり頼もしくもある。
ともあれだ、2010年はフルムーンでスタートした。
今年もよろしく!