2足歩行の火の見櫓

手先足先がすぐに温もらない冷え性なタチなので、いざ寝ようとベッドに入っても、右足に左足が触れただけで、
「キャ〜」
自分の冷たさにビックラこく…。
なのでフトン乾燥機を使う。
就眠1時間前くらいにスイッチを入れて暖気させちゃう。
身体が乾燥する弱点もあるけど、自分の冷たさとフトンの冷たさを我慢してジッとしてるよりはイイ。
ヌクヌクとして、すぐに眠れる…。
そのせいなのか、後述の別の理由なのかは判らないけど、ヘンテコな夢をみる。
けっこう面白い。
が、目覚めてすぐに思い返そうとするのだけども、ストーリーを追う速度より早くに、記憶そのものが消失していく。
渡っている橋が後方からドンドン崩れていくみたいな勢いで輪郭がぼける。
これが口惜しい。
せっかく面白いのを見たというのに、それを復元できないんだから悔しい。
ここ数日は、スチームパンクなSFみたいな愉しさがあったんで余計に、思い出せないのが口惜しい。
"2足歩行の火の見櫓"みたいなのが登場した一昨日の夢や、水中に没した謎のボックスを回収すべく海底に潜ろうとしてる昨日のやら… なんでそんな夢を見てるんだろうと苦笑するのだけども、お話の詳細を復元できない。
"2足歩行の火の見櫓"は、伸縮可能な蛇腹状構造をしたヒノミヤグラそっくりな形で、その頂上に運転席みたいなのがある。1人乗り。
だから構造物として横幅は大きくないけど、蛇腹を伸ばせば10mくらいの高さになる。

これがR-2・D-2みたいな短い足を持っていて、この短足を操作して歩くようになっている。電気仕掛けではなくって、ペダルの回転でもって蒸気を発生させてるようなレトロな鉄骨構造物ゆえ、夢みつつスチームパンク風味とおぼえる。
けども運転席は10m上にあるのだし、背は高くとも実に細いので、誰が見ても不安定なのだ…。
これに自分が乗ることになっている。
夢の中では、何かのイベントのアトラクションとしてこれを使うというコトのようである。
けども運転の自信なし。そも、高所は苦手なのだ。
歩行させて注目されたい気分と、危ないな〜な感じがあって、周辺にいる方々の顔色を窺っている内に、この歩行機を納品(?)したヤツが乗り込んだ。
近所のビルの壁面に手をのばし、手で支えつつ蛇腹を伸ばし、高々10mの高みに達し、ヨタヨタ歩くや、たちまちに横に揺れ、前に揺れ、アマゾンのお汁粉みたいな色をした川のほとりの木に引っかかり、ヒノミヤグラは倒壊して真っ二つ。
「それみたコトか」
と、半ばの安堵と半ばの安否を気遣いつつ駆け寄ってみると、乗ったヤツめは木に宙づりになりながら半分にちぎれた歩行ヤグラを写真に撮っている…。
ね。
変でしょ。
政治に経済にメディアに… と今の基幹構造にゲンナリしていて…、 何やら逃避的な、何やら厭世的な気分が蔓延し、それが溶出して、ま〜るで別大系な世界を文字通りに"夢みて"いるのかしら? と、疑ったりする。
でも、そんな分析は今ここにコレを書こうとして頭に描いただけのことで、夢を見ている時はけっこう愉しんでるフシがある。
だからこそ思い出そうとするワケなのだけど… 残るのはごく一部のかけらだけ。
口惜しい。けども… そうやって消えていくのが夢の特性なのであって、夢の方が現実よりも楽しいというコトになると… 誰もが24時間眠ちゃうよね。
なので、消えるのは、人を現実にとどめるための安全回路と思わねばいかん、な。