月のナマズ

月が変わって12月。
2017年も残りわずか。もう幾つか寝るとお正月。
1日。某所でギタリストのダテさんのライブを観賞。
工夫しだいで今やどこでも演奏出来て唄える…、このあたりまえが妙に嬉しく眩い。




ライブ後、外に出るとビルの暗影の彼方にチラリとオリオン座が見えている。
ちょいと前、太陽のそばを通過していった、人類史はじまっていらい初めて観測された…、太陽系外の小惑星を思い出した。
サイズはフットボール競技場ほどらしいが、公表されたあの葉巻型の姿には、SFめいた面白みも加味されて、いささかの衝撃をおぼえたもんだけど、時速14万Kmという高速で移動しているというのにもオドロイタ。
(地球から月へ3時間弱で行けるという速度だ、ヨ。ぶつかったら大変じゃ〜すまないジ・エンドだわ)
この小惑星は何100万年か何1000万年か、あるいはもっと長期…、ずっとそういう速度で移動しているか、さらに加速中なワケで、宇宙空間の虚無をまのあたりにしたようで、やたら感慨深かった。
何よりも、遠方から旅し、太陽系もただ"通過"するのみという、その消息の深淵に目眩のような感動をおぼえた。



(C) European Southern Observatory / M. Kornmesser


ライブ後、Sunaharaちゃんの車で送ってもらう。
(Sunaharaちゃんは、講演時に受付をやってくれてるイケメンだ、ヨ)
その車中、この前の講演のさいのハナシを聞いて、笑い転げる。
(いまだ笑うと口がとても痛いんだけど)


何度か講演に来てくれているらしき方が、たまさかSunaharaちゃんを知っていたらしきで、後日、どこかで彼らがバッタリ会ったさい、その方が、講演で配布したペーパーのごく小さなミスを指摘してくれたようなのだけど…、そのさい、このブログのことを、
『月のナマズ
と、おっしゃったそうで…。
それで、しばし、余韻ある笑いで頬が弛みっぱなしとなったワケなのだ。
"月のヒツジ"やら"月のウサギ"は、ま〜判るというか、文字通りに"月並み"なのだけど、「ナマズ」は聞いたこともなければ発想もなかったから、
「はっ?!、そ〜〜!」
迷妄するような可笑しみにくるまれちゃった、よ。


来年、また講演の機会あらば、その方に是非お会いしたいもんだ。
ブランク→プランク
(上1行は、その方へのメッセージ (^_-))



※ 量子論の父。以外と知られていないけど、マックス・プランクのお子さん(次男)はヒトラー暗殺計画(1944年7月のワルキューレ作戦)に加担した罪でナチスに処刑されたんだ…。なので大戦中のドイツ国内ではプランクは「国賊の父」といわれた。長男を第1次大戦でなくした上にさらに次男も…、だから博士の眼にはノーベル物理学賞の誉れも失せ、世界は虚ろな灰色に映ったろう。


と、それにしても1年が早いな〜。
年齢がかさむホドに、1年という単位の感覚的経過は速くなるらしいけど、まさにその通りの感有り。
時速14万Kmで太陽近くを通過してペガサス座方面に向かっているらしき小惑星の速度には及ばないけど、ね。
しかし…、その小惑星は、1年という単位を持ってないんだよね。
雑煮を食べて祝うこともなく、ほぼ金属らしきその細長い地表にナマズを見ることなく、ゆく年の反省もなく、来る年の希望も決意もなく、ただ進むだけの、区切りがない生涯を送るワケなんだ。
なんとま〜、寂しい限り。
「良い旅を…」
などとエールをおくりつつも、ちょっと気の毒を思った、よ。
何かに衝突するまで、この細長い小惑星は過酷な宇宙線に焼かれつつ永劫めくな島流し的時間を"生き"なきゃいけない。