日々の暮らしの中、誰にだって、諸々な優先順位ってのがあるでしょ。
アレしてコレしてと、欠かさずやらなきゃいけないコトがアンガイいっぱいある。
けどもそういうのを粉砕してくれるのが、突然のアクシデントというやつ、ね。
先週の月曜から、整形外科に通ってる。
腰痛だ。それもかなりひどいヤツ。
ちょいとした動作でズッキ~ン、激痛だ。
この数週、パッションフルーツの移動やら庭池の水替えなど、順位高きな作業を繰り返し、穴を掘ったりバケツさげたりのその負担が腰にかかったようなのだ。
水たっぷりなポリバケツ2つを前屈のまま持ち上げたさい、ビビビッと腰に痛みがはしったのだけど、よもや、こうもひどい事になるとは思ってもいなかった。
さてそうなると、優先順位だの日課だのは脆くも崩れちまう……。寝返りがうてず、前屈も出来なくなり……、這うように整形外科に出向いて、「痛みとってチョ~」と手をすりあわせるしかない。
といって即座速攻で疼痛が消えるワケもない。
背中の患部に注射をうってもらったものの、それとて数時間の緩和でしかなく、痛みの根本解消には至らない。
背骨の腰椎部が変形(これは今回急にそうなったというワケでなくながい生活慣習上の姿勢の悪さで変形だ)ということで、コルセットを着けさせられ、以後、通院。
徒歩500m弱のところに病院があるのは幸いといえば幸いだけど、その後の庭池の管理も何もあったもんじゃ~ない。不意にやって来た腰痛の、その退治が一気に優先順位のトップに出てしまった。
なんせ座っていてもジワジワ痛むものだから、本を開く気力すらわかないし、座った姿勢から立ち上がるには歯を食いしばらなきゃ立てね~、というワケで、全生活のいっさいが「痛くないように振る舞う」の1点に集中されちまって、さっぱり面白くない。
レイ・ハリーハウゼンの『シンドバッド虎の目大冒険』(1977)に登場のモンスター達。いずれも腰に重心が置かれてますな~。こんな敏捷っぽい姿勢いっさい、とれません。
それにしても、激痛というのは、どういう痛みをゲキツウというのだろう?
果物は糖度が計測され、その度数でもって甘みの高低差が知れるけど、激痛にも度数があるのじゃないかしら? 激痛の2文字では表現しきれない幅があるはずだ……。激痛度2とか5とか、段階表現があってもイイのでないか?
疼痛もその激痛度数に加えてイイ。
だいたいトウツウといっても、ズキッもあればズキズキッもあって、これまた一語でくくれない。こたびの場合は単音的なズキッ!の発生だけど、ま~、とにかく痛いのなんの。
にも加え、腰というのは身体の中央であって、諸動作モロモロに影響する。
ソックスを履こうとする、その動作が容易でない。容易でないというか、出来ない。
屈めば腰がキャイ~ン、足をあげようとするとグギッ、手をさげればグリリッと刺さるよう。
総じて一言に書けばズキ~~ンという痛みなのだけど、身体動かすたびのズッキ~ンズ。動作が進まず、いつまでもソックスが履けない。
しかもまだズボンも履かなくちゃ~いけね。
情けなくって笑いだすと、それが腰にズッキ~ニ。
これは、ま・い・っ・た。
いけね~、はけね~、なさけね~。進退窮まったワケだ。
そんな次第ゆえやむなく、とある会合とそのアトの懇談飲み会を欠席。その翌日に予定していた狛犬研究女史との初ランデブーもキャンセルさせてもらい、さらにその夜の某所でのライブも欠席通知と……、かなりションボリandガックシ。
狛犬女史の特集記事が載る雑誌。お会いできずでまったく残念無念
ま~、それでもお腰につけた吉備団子……、ユルユルとは治癒しているというか、変化しているようでもあり、なんとかソックスを自分で履けるようになった。姿勢を工夫し、片手を肩よりやや上ぎみな所にある何かにつかまって支え、ジワジワ片足上げつつジワジワ片手をそこに持ってって接近遭遇、すばやく網をすくうようにしてソックスを足にひっかける……。
ソックスが履けたことで大喜びというのも何だけど、これは体験してもらわないと喜びの厚さと甘味はわかるまいが、痛みがなくなったというのではない。痛みをどう扱うかという所作のハナシであって、痛みとの交際という副次的な面でのハナシながら、なんだかしら、小さな1歩を獲得したような気分もチラリンコ。
チャンピオンベルトみたいなコルセットも不思議なもんで、1週間も着けてると慣れちゃって、外すと逆に不安でしょ~がなくなる。
ただ、外す直後の腹部の圧迫が消失する感覚はタイヘン面白い。開放感という3文字がまことにピッタシ。キュ~っと絞られ締まってたのが、外すや、プック~ン。腹芸的フリ~・フィーリングの爽快がたまらない。
以上のような悶々モードに入って既に10日ほど。どういうワケか、
井戸のまわりでお茶碗欠いたのだぁれ
という歌のフレーズが出てくる。それで以前に書いた「茶壺道中」のことを書いた記事を読み直しつつ、ちょい束の間痛みから離れ、甘みふくよかな茶をすすっておりまする今日この頃。