にっぽん昆虫記

岡山市は三週連続の雪なのであった。
こりゃホントに珍しい。
もっともこたびは、朝の四時くらいに雨混じりで降り出して夜明け頃にかすかに積もりはしたものの、みぞれから雨にと変わってたちまちに溶けてった。
だから早朝の、この雪を知らなかった人も多かった。
先週の雪については、このブログにも記して、すぐに溶けるだろうと予測したのだけど、午後になってもそれなりに残ってた。

その午後に出かけたさい、岡山城界隈はどんな感じかしらと思いたち、知友と共に出向いてみると、天守閣前の広場には物珍しい雪景色をカメラに収めようと何人かの中年のカメラおじさんがカシャカシャとシャッターを切っている。
誰も踏んでない純白の一画があったので、そこでボクらは・・ いいおっさんが・・ 雪だるまをこしらえた。
今年、2個目のダルマさんだ。
でも、誰も踏んでないと思ったら、おそらくカラスだろう、白一面の一画にくっきり、足跡が残ってるを見つけた。
ちょっと口惜しい。
そのカラスめの足跡をたどると、ヤツは小さな範囲を楕円を描いて1周し、それから近くの石(昔の天守閣の礎の一つ)に登って、そこからはばたいたとおぼしき形跡があって、エサを求めてそうしたのかしら? と訝しむ。
ひょっとして、雪を面白がったのかもしれん。
ダルマは作れんだろうけどさ。
で、今回の早朝の雪。
午後になると雪の痕跡はない。
午後、天神山文化プラザで映画を観る。
「にっぽん昆虫記」
今村昌平の1964年の作品。
巻頭で雪が出た。
白黒の作品でありつつ、雪の白がカラーとして発色されているように感じ、眩しかった。
場内はほぼ満員。
ボクより年齢の上の方が多い。
わずか500円で三本の映画が観られる。
たまさか招待券での入場だったけど、500円で三本はあまりに安い。
東京国立近代美術館フイルムセンターと文化庁が主催ゆえにの安さか。
と、それにしても、この日の上映会のことを皆さんはどのようにして知ったんだろうか?
実はボクは知らなかった。
岡山でお芝居をやってらっしゃる古市福子さんから招待券を賜るまで、ぜ〜〜んぜん知らんかった。
この日は「青春残酷物語」と「にっぽん昆虫記」と「心中天網島」の三作上映なれど、観たのは「にっぽん昆虫記」のみ。
その内容よりも、巻頭の雪が・・ ボクには印象として濃く残った。
三週連続の降雪の、その起承転結の"結"めいた感触もあって余計にスクリーンの雪を身近におぼえる。
「オレってホントに雪が好きだなァ」
と、つくづく感心させられた。
ちなみにだけど・・ 天神山文化プラザのホールは映画向きじゃない。
せっかくの500円だし、ボクはこのホールを好きなのだけど、映画観賞の場としては、ここよりヨソの方がいいと思う。
かといって、シネマクレールのあのかたっ苦しさは大嫌い。
基本として娯楽のはずが、店内飲食ゼッタイお断り・途中退出おことわり・・ を厳守徹底しようとするもんだから、昔の社会主義国の施設のような感じを受ける。
昨年の夏だかに、ペットボトルの小さいのを手にしてチケットを求めようとしたら、
「お飲み物は持ち込まないでください」
って、まだチケット買う前だよ、それもロビー手前でだよ、そんなツッケンドンいわれてアタマに来ちゃったね。
夏だよ。暑いのだよ。水分いるのよ。しかも時間に間に合わせようと急いで出向いたワケ。
ロビーでカカ〜ッとそれ飲んで入場するつもりでいたのさ。
が〜〜、チケット買おうとした途端に、
「お飲み物は・・」
だよ。
飲みかけだったから、
「じゃ、ゴミ箱どこ?」
たずねたら、
「ございません」
って申される。
なもんで、
「じゃ、エエわい」
映画一本楽しませてくれね〜のだ〜。