]雨やら風やら


近頃、軽度の健康オタクみたいなことになっちゃって…、1日に1度、1時間か1時間半くらい、歩くか自転車に乗るかしなくちゃ、身体も心も、納得しないみたいな妙なアンバイなのだ。
昨年末から今年早々にかけてちょっくら身体を壊し、それを改善させるための一助と始めた徒歩ないしはバイシクルというワケなのだけども、いざ始め、日々を詰んでいくと、時にそれが欠けるようなことになると、どうも、身体が不安がるのだった。
この4日間、岡山では白昼に雨が降った。(これを書いてる今も降っている)
3月に、連続で4日、傘を必要とするお天気というのは、あんまり記憶にない。
まるで梅雨のように、ジトジトシトシト、雨粒が落ちるもんだから、徒歩もかなわず、バイシクルもかなわずで、運動としての1時間だか1時間半を過ごせないから、なんとも身体が頼りない。
現実には、たかが数日の運動の中断ゆえに、御身体にとっても悪ぅござんすというワケでもないのだけどもさ…。
しかたないんで、白昼、部屋でワインなんぞを舐める。
自転車の絵のある白。右目で外の雨を眺めつつチビチビ呑む。で、フッと思い出す。
その昔、J.G.バラードの「狂風世界」を読んで、ずいぶんと楽しんだもんだ。
ある日、突然に、全地球上でもって狂妄な風が吹き出して、人類はこれにナンギさせられるという話だった。
いま手元に原本がないので、小説の中での風量がわからないけど… ビルが倒壊するようなメチャな風だ。
たかが4日ばかりの雨なのだけど、歩くことが出来ないので、そんな小説のことを思い起こしてる次第。
ちなみに、かの海王星では、とんでもない風が地表に吹いているようだ。これはハッブル望遠鏡での大気調査でわかった。
秒速400mの風が常時吹いているらしい…。
秒速400mというのは音速を越えた猛烈なスピードだから、これはバラードの小説よりも凄い風だ。
音は1秒に340m(常温)進む。
海王星の風は、その音よりも早い。
歩けず、走れず、自転車乗れずなので、部屋にたれ込めて茫漠とこの風を考えてみる。
例えば、その海王星にアナタとワタシが立っているとする。
で、アナタは風上からワタシに向かって小走りしつつ、ワタシに、
「愛してるよ〜!」
と、叫んだとする。
すると、この6文字の言葉は風よりもノロイうえに、発しつつ移動しているものだから、ドップラー効果が生じて、な〜んと、ワタシには、発せられた言葉の順が逆になり。
「〜よるてしいあ」
と、届くのだ。
さらに云うなら、もう少しアナタがワタシの近くに立っていると、眼と鼻の先に立っていると考えると、海王星上でのアナタの「愛してるよ〜!」は風に押され、とんでなく凝縮された音波密度となって、もはや言葉として意味をなさず、6文字はほぼ同時にワタシに届いて、ワタシはその音の"衝撃波"に倒されのだ。
音速を越えた風というのは、それくらいトンデモないものらしい。
で、なんで海王星にそんな風が吹いているのかは未だ判らない。
通常、風というのは、大気があって、そこに太陽エネルギーが関与することで生じる。
風を気象の用語では、「気圧傾動力」という。
けれど海王星の場合、なんせ太陽から遥かに遠い惑星なので地球に較べて、太陽の関与率は1/1000くらいのものだ。
そんな状況でもって、なんでそんなメチャな風が吹いているのかが未だ判らない。
それを知るには、探査機を派遣させるしかないんだけど… 人類は未だ、ボイジャー2号を近隣を通過させただけなんだね。それは1989年の8月のことだ。
以後、人類は… 何もしちゃいないワケで…。

謎は謎のままなのだった。
と、ま〜、そんなコトを数日の雨降りがゆえ、部屋の中で思い起こしたんだぞ(苦笑)。
でも、ジト〜ッと部屋に居たワケでもないよ。
夜には出かけもする。
とあるイベントのあと、某バーにて、歌手のあがた森魚さんとツ〜ショットだ。
ワタシは"天体嗜好症"の先人たる氏の大フアンゆえ、この雨の夜のあがた氏とのお酒は最高に美味かったぞなもし。