おもわず万歳

久々の月食
よい眺めでしたな。
ほぼ地球の影に入った月は、色と模様が不気味な寂寥をかもして、なんだか死滅しかけた火星を近接で見るような趣きがあって見ていて飽きなかった。
ボクらは地表にいながら、天体が動いている、その速度をまのあたりにしたワケではあるけれど、その辺りの物理学的消息を思うと、膨大な質量がもたらす重力と重力の干渉といった法則式が眼には見えないけども夜空一面に散りばめられてくみたいな感も受けた…。
日本のどこからでも見られるという月食だったけど、たぶん、見る環境でかなり趣きも違っていたろうな。
大都市より小都市。小都市よりは町で。町よりは村で。できたら寒村…。
気分としては、ボクの場合、そうなる。
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とある調査に出向いた。
すでに何度も足を運んだ場所だし、ある種の結論を出してそのための模型も作り、某日の講演で披露もしていたのだけども、もう1度眼を通そうと出向いたのだった。
かつて露口茂の声でホームズがワトソンに向け、
「いや、ワトソン君。1人で見るより2人の眼を通した方がいい。来てくれたまえ」
みたいなノリでだ。
でもって寒空の下でアレコレ眺めるや、今まで何でソレに気づかなかったの〜? な諸々を見いだしてしまったのだった。
そこは調べる必要なし… と思い込んでた所に金貨が埋まってた。
それも巧妙に隠されていたというワケでなく、ハナっからそこに在り在りなモノであったから、何やらキツネに化かされてたような… そもそも調査の場所が稲荷ゆえにキツネ様はコンコン笑ってたみたいな妙なアンバイでもあった。
また1つには、
『明治や大正時代にゃ、そ〜じゃなかっただろうさ』
みたいな思い込み、あるいは刷り込みがアタマの中にあって、これが、見るべきポイントを霞ませていたって〜ワケだ。
それで、もいちど、初心に戻ってアチャラやコチャラを見直すと、1点でなく、2点、3点… 新たな発見があるからタマンナイ。
いま、初心に戻って… と書いたけど、実はこれが容易でない。
初心に帰れだのとよく聞くフレーズながら、実体は極めて難易度が高い行為とボクは思う。
それでも幸いかな、手探って金貨を見いだせたのだから… エライじゃん。
横に寝かされて置かれていた物体ゆえ、ず〜〜〜っとそうであったろうとの思い込みが眼を曇らせていた。
縦にしてみると、どうか…。
眼の前のモノに少し想像をふりかける。
今まで想起しなかった類いの想像力をば、ふりかける。
ある意味、それが初心に戻るというコトかしら。
ともあれそうすると、焦点があって視界が冴えた。
「やった〜〜♪」
なのである。
ゆえに、会心の笑顔になっちまったのだった。
浮浪者になった東条英機が笑ったみたいな顔になって万歳するのだった。
必然ながら、新たな事実が判ってしまうや、今までの何事かを修正補正しなきゃいけなくなる。
だから、ホントは新規の苦労を抱えたみたいなトコロもあるのだけども、前進には違いない。
というワケで、このご報告は、来たる2012年に。
また講演だかで(笑)。