厚い布団のヌックヌク

冬場の布団。
厚いのを好むか、薄いのを好むか… このいずれかに人間は二分出来るのではないかしらと、時に思う。
アンガイ、薄いのを好む方が多い。
厚いを好むのは少数派ではないかしら? と思える。
その少数派にボクは属する。
冬の布団は、分厚くて、重くなくっちゃ〜いけない。
夏はともあれ、冬場のホテルや旅館で何が心許ないかといえば、かけ布団に厚みがないこと。軽いこと。
ホテルは布団ではなくってシーツなのだから、尚にペケ。
どうにも頼りなくって寝づらい。
先週末だかに、いささか夜が冷えてきたから、ボクは棚から冬布団を出し、毛布の上に乗っけた。
途端、睡眠が深くなった。
我が冬用のかけ布団は、大きくて重い。
けっして羽毛なんぞではなく、中身は綿だ。
綿がたっぷりな上に幅も長さもでかい。
それが自分の上に被さると、ボクは程良い心地をおぼえて、何だか身体も安定する。
むろんに、重いからといって、寝返りがうてないようでは困る。
その辺りのアンバイも都合よい重みなのだ。
羽毛がごときに、乗ってるのか乗ってないのか判らんようなのは心理的に不安定で困る。
なので、ボクは宇宙旅行はペケだろうと思ってもいる。
無重力な環境では掛け布団は意味がないワケだから、いわば、お布団なしで寝なきゃいけないワケで… メチャンコに疲れきっているならそのまま爆眠もあろうけど、そうでない場合、ボクには深い眠りが期待できない… ある種の重み、重力を身体で受け止めないと、冬は眠れないタチなのだ。
1Gという重力を呪縛とはボクは思わない。これあってのお布団の重み、これあっての恩恵だ。

もうずっとずっと前に、BARでこの布団の重みが話題に出た時に、誰かが、
「それは子宮回帰的な願望がそうしているんだろうな」
といった感想を口にしたけども、合点出来るような、そうでないような、けども、あんまり反論する材料もなくって、
「フ〜ン」
てな、生返事を返したもんだった。
けれどもボクは眠る直前、その重みにくるまれつつ、時として、森のクマさん達の冬眠を思い起こしたりはしてた。
子宮回帰ではないけども、自分が森に住まうクマならば、と思うコトがしばしあったワケだ。
深々な睡眠で冬場をやり過ごしてる図式が、何やら好もしく思えていたのだ。
けど最近になって、クマの冬眠の生態を映像として観て、小さく驚いた。
狭い空間の中にうずくまって眠ってるワケではないのね、あれは。
その状態で春まで寝込んでるワケではないのね。
あんがい広い空間で寝てるんだ。
しかも、この冬眠期間中にセックスする。子作りをする。
なので大きな身体の二頭が愛し合えるだけのスペースがあるネグラなのだ。
サイズという意味では我がベッドもでっかいのではあるけど… そうかぁ、冬眠って、葉っぱにくるまれて眠り続けるだけじゃ〜なかったんか〜… と、少年みたいに眼を張らされた。
だから、今年はもう、重みある掛け布団の下に潜り込んでも、
「森のクマさんみたい♪」
な情感は沸かさないのだ。
クマさんとボクは違うのだ。
巣ごもりは子作りの場でもあったワケで、そこが… 我が方には欠落しているのだ、今んとこ…。
なので、眠る前、今夜あたりは、森林から海底へと場所を変え、ノーチラス号船内に一部屋持ってる自分を空想しよう。
海底深くをゆっくり進行しつつ、自室のベッドに眠る自分だ。
むろん、掛け布団は重くなくっちゃ〜いけない。
海水という120%にウエットな外の環境の中にあって、自分はドライながら重みあるお布団でヌクヌクとしていたい、という夢想。
睡眠って、大事なのだわさ。
わけても今日は、ず〜〜っと仕事の書類書きしつつ、OJF関連な電話とメールに対応したりでいたから余計、逃げ場としての睡眠を思っちまったのだった。
ぁあ、早くお布団に入りたい〜(^_^)。