サンダーバード博の模型たち

お台場での『サンダーバード博』。期間は今月の23日まで。
スタートは7月10日でしたけど、3ヶ月というのは長いようで短いですな。
今回は、現在展示しているものと併せ、展示していないものも少しご紹介しましょう。

上はただいま展示中の『移動指令部』。
『移動指令室』といったりもします。
災害現場とトレーシー島を結ぶ、いわば中継基地となる装置がこれです。
サンダーバード1号に搭載されて運ばれ、使われるという次第。
いわば脇役としてのメカですが、こういった存在がドラマに深みのあるリアリティを加味させてます。

着色前の様子。
60年代の雰囲気をそのまま醸すべく、豆電球と点滅電球を大量に使ってます。
でも、LEDではないので球切れの心配があって… なにしろ長期展示ゆえ… よって会場では電源はオフ。効果をお見せ出来ずなんですが、仕方ない。
フィギュアの衣装が違うのは、これは試作ゆえ。いわばサイズ合わせとしての仮衣装です。


塗装後の移動司令部。


ご存知サンダーバード2号のヴァージル。
当初はこのように隊員服を着ていたのだけど、よりプライベートなカタチもいいのではないかと… 夜会服に。
劇場版『サンダーバード6号』の最終シーンでチラリと、このような衣装の彼が出てまいりますゆえオシャレモードに変身させた次第。
でも、結局、展示しておりません。
救助活動をメインテーマにした今回の展覧会にはそぐわない感もありまして。
素晴らしい仕上がりのヘッドは、7月号のモデルグラフィック誌紙上でちょっとした特集記事になってる徹屋君が担当。
縫製にNさんやHさん。
他にもY君やH君など、フィギュア及び移動司令部は、意外や大勢の方が参加して出来上がってます。
芯となるボディは「サンダーバード」が造られた60年代前半での造形を踏襲。
なので可動する関節は、あえて針金で連結していたりします。いまどきのポリキャップを埋めたフィギュアではござんせん。
右側の上半身像はこれも展示していないんだけど、パーカーの胸像。そう、ペネロープの執事。



これは展示中のスコットとブレインズ博士。これに加えて会場ではアラン(3号のパイロットだよ)も展示してます。
ヘッド部分の造形と塗装は徹屋氏。
Nさん達縫製担当は、生地を探してくるのがチョ〜大変だったようで…。でもおかげで良いオーダーメイド衣装に。
ブレインズのブレザーは生地のチョイスといい、縫製といい、最高の仕上がり。
60年代中期を代表する英国プレタポルテ♡、襟のないカントリーライフ的スタイルの優雅。そのリメーク、見事に着こなしたブレインズ博士って〜〜な感じですな。
製作上の1番の御苦労は両者のパンツ。その細さですな。ホンモノな人間なら何とか無理しちゃって穿けたりもするけど、1/6の小さき、それも硬い足(ポリウレタン樹脂で作ってます)ゆえ… 穿かせてフィットさせるまでが大変。
2人がかりでアッチを押さえコッチを支え、右側をちょっと上げさせておいて若干に左足を曲げさせて、その隙に反対側を持ち上げるといった七転八倒の衣装着け。
かいあって、見事にスリムフィットです。
60年代のファッションというのは今に通じますね。70年代に入ると例えばパンツはスリムなものからパンタロン的ゆったりな衣装へと変わってくけど… 今現在というのは時代がグル〜っと廻って先祖返りしてるだけみたいなアンバイですな。
ちなみにチョット前、展示中のこのブレインズのブルーのメガネが脱落(誰かが無理して触れてフレーム折れた)しちゃったという"事件"が発生して、慌てましたよ。
東京から連絡を受けても即座に移動できない場所に住まってますからね、トレーシー家にお願いしちゃって、
「よし、直ぐに出動だ。サンダーバード1号発射!」
というワケにもいかんので。



いささか大きな1号のディオラマ。
これは未展示であります。
第7話「原子力機ファイアーフラッシュ号の危機」に登場のシーンを再現しております。
移動レーダーと移動司令部を設置するために、農家に協力を願い出てという情景。場所は海岸線に近い英国某所。
牛舎内に移動司令部を設置。その外にレーダー。
救助活動終了後、この第7話では、スコットが農家から搾り立ての牛乳をもらってくるという楽しいエピソードになってましたね。
1号はTVC-15自社製の1/100。噴煙は綿。
新品の繊維細かい真っ白いのと、使い古されたマクラか何かから取り出した、やや黄ばんでるようなアンバイなのを探し出し、この両者を手の中で織り込むように併せていって… 噴煙の色彩感触をもたせるという… ワザあり。ちょっと写真じゃ判りませんけど。
機体を宙づりに支えるバーをこれで隠しているのですが、実はやや安定に欠けるので、未展示になったコトでちょっと安堵していたりもします。

牛舎とレーダー。
これと移動指令室とが、本来はセットとしてサンダーバード1号に搭載されているワケなのですな。
あんがいに大きくて、サンダーバード1号のどこに搭載され、どのように降ろされたかを想像すると… うむむ、ツジツマがあわんぞというコトにもなるんだけど、そんなコタ〜どうでもよいのです。
早や60年代に、このような"中継基地"もまた要するのだということを見せてくれた当時の製作者たちに、ただもう感服するのみなのであります。
電波は曲がらない。でも地球は曲がってる。
だからお届けの電波がはるか遠方の場合、中継ぎが必要なのだ… ということを当時の少年は、学校じゃなく、この番組でもってお勉強しちゃったのでした。
60年代前半はまだまだラジオの時代。鉱石ラジオを組み立てるといったコトやらが趣味として成立していた頃なので、劇中に登場の電波は曲がらないは… 幼き少年にはズ〜ンと重い新知識だったワケでありました。
よって、わたくしども"再現者一同"はこぞって、恩師たる"サンダーバード"に強い敬愛の情をもって、こたびは模型造りに挑みましたんですよ。