スーパーマン2


日曜の講演後、関係者一同9名で打ち上げ。夕刻のまだまだ明るい時間でのビールはうまいなぁ。
という次第で杯、重ね。
とはいえ、翌日に東京から某プロジェクトの模型を取りに来る予定だったから、チャカポコ愉しんでもいられずで、こたびは一次会でボクは撤収。




翌日月曜、雨中、予定時間に美術搬送車輌がやってきて、模型1つが東京方面へゴ〜。
うむ、これでやっと同時進行の2つの課題終了。
「やれやれ…」
と、一息またビール。


日曜の講演は、前回の満席越えの反動か、連休ラストという日程がよろしくなかったか… 空席ありの本番とあいなって、やや拍子抜けな感もおぼえたりで、満足には遠いコトになったな〜、など、いささか乾いた感想に染まりつつあるけど、県外から聴講に来てくれた方もあって、そこは有り難い。


○もあればXもある。


1つこうして終わるたび、「よかった」の声と、「ぅぅ〜ん」の声が聞こえ、やはり、○とXが浮遊する。



亜公園という、一時代の施設を基点にして、今回は明治から現在に至る絹糸(シルク)のヒストリーをば語ることで、逆にその亜公園があった時代を浮きぼってみようとはしたのだけど、舌足らず、舌過剰のバランスが難しく、話術の不足が甚大なりと… 反省後悔の色のみが濃ぅ〜くなってくのが… イヤだなぁ。


さてと月曜…。雨の午後。
模型を送り出した後、一息いれつつ、「スーパーマン2 リチャード・ドナー・カット版」を観る。
クリストファー・リーブ主演の「スーパーマン」は、監督リチャード・ドナー作品、同時に「スーパーマン2」の撮影も進行した。
なので本来は、1も2も、ドナー作品になる予定だったけども、プロデューサーのサルキンド親子と監督が途中で対立。2の編集さなかにリチャード・ドナーは解任されてしまう。
そこで新たに起用されたのが、リチャード・レスター
ビートルズがやってくる・ヤァヤァヤァ」や「ヘルプ!」でお馴染みの監督。
しかし、彼とて、再撮影を含め、他人が構築しつつあった作品を途中から自分色に作りなおすのは… 苦労がでかかったろう。監督としてクレジットされるのに随分と抵抗をおぼえて葛藤したようだ。
一方のドナーも、途中での解任は、不本意極まりなかったろう。
サルキンド親子は罪なことをしたもんだ。2人のリチャードを苦しめたワケだ。
超大物たるマーロン・ブランドの登場シーンいっさいが、レスター版では削除されるという"不思議"も起きた…。



最近、といっても2006年のコトだけど、そのリチャード・ドナーが映画会社の倉庫からかつての自分が撮った部分やらやらを発掘発見… 30数年ぶりに編集かつ公開の権利をとって、いわばオリジナルな「スーパーマン2」が発表された…。
だから、「スーパーマン2」は、リチャード・ドナー作品とリチャード・レスター作品の2本が在るという次第になって、ややこしいったらありゃしないけど… 今やこうして両者を味わえるのは、やはり有り難い。



監督交代に伴い、撮り直しがあって、数多の似通うが絶妙に違うシーンを演じたクリストファー・リーブやマーゴット・ギターの演技中の心理にも興をおぼえる。
観賞後の感想はといえば、やはり、"オリジナル"のドナー作品の方が、良い。
といって、レスター版がダメとは云わない。
レスター版は、いわば他人のマワシで相撲をとらざるをえなかった悲哀が随所に散見され、同情得点も加味される。また逆に、編集途上であったドナー版の意気込みを汲んだ作品であったと改めて知ることにもなって、評価低からず。
スーパーマンという一人物へのスポットのあて方が監督によって絶妙に光彩が違うという点もおもしろい。



そこらあたりの感覚は、たとえばボクの講演を聴いた人の、その反応に似るのだろうな〜とも思う。
要は… ○もあればXもあるわけなのだ。
だから反応に落ち込む次第でもなく、浮かれる次第でもなく、諸々含んだ上で評価は評価として頂戴し、さ〜て、次ぎに進もうかとヒッソリ思う今夜。
ちょいとスーパーマンに救ってもらってる感もなくはない。
そう… 彼とて、その救出劇において、全員から満足を頂戴できるわけはないのだし、ましてや、1人の女の愛よりも人全員に愛を献げなきゃいけない宿痾を背負った彼の哀しみ…、その辺りのスーパーマンの限界と苦痛を描き出しているのが映画「スーパーマン2」の核心なのだったし、2人のリチャードはそこをしっかり描いて両者遜色なし。
CG時代到来前の、ほぼ最後のミニチュア活用映画という点も含め、2本の「スーパーマン2」は、ボクには感慨深く… 傑作と持ち上げはしないけど、示唆大きな"良作"といって、イイ。



今回の講演で、1938年に登場したナイロンと、同じく1938年に登場のスーパーマンの、その共通項に言及したけど、2夜経って還りみるに、両者ともども1938年を生きてた方々には、超がつくくらいにそれは真新しいモノだったんだなぁ… とも、感想を深めた。