タバコライオン

先日の日曜。Akimoto Takashiのライブ。
今回もリトル・ヘルプな裏方役でもあったから、リハーサルからお付き合いしたけど、彼のギターは乾いて澄んだ良い音色を奏でる。こたびもまたバッチリ。さらにクラリネット。そして唄。
本番では、ペギー葉山西岡恭蔵かまやつひろし、と見事なトリビュートも組み入れられ、"美味しい"と感じた2時間ほどだった。



新作CDのパッケージ・アートは、ボクらの講演フライヤー・デザインを担当してくれているYUKOちゃん。
木版での表現。
Akimotoは、
「ジャケット・アートに内容がついていけてない」
と、笑わせた。



このイベント時、やはりリトル・ヘルプ役だった、このブログにチョイチョイ顔を出す本好きの某女(今回はそう書いておこ)と歯磨きのハナシになって、いわく、
「タバコライオンを使ってる」
「しかし、去年、製造終了して、今はネットで在庫分を買ってるんだぁ」
というので、2重丸のリトル・ビックリ。


こりゃ先入観ゆえのもんだけど、まず、女史がタバコライオンというのが… 可笑しい。しかも彼女はタバコは吸わないヒトなんで、余計に。
聞くに、お母さんがそれを使っていて必然に自分も… という次第らしく、それで合点したけど、ボクもご幼少の麗しき頃に父親のそれを、粉状であることにも興を抱いて、コッソリ使ったことがあるけど、
「かっら〜〜」
舌がヒリヒリしてどうにもこ〜にも、
「こりゃ子供用じゃ〜ネェな」
すぐに吐き出し、いつもの「バンビ・ハミガキ」の甘いゼリー状を口にいれたのだった…。
同じく子供だった某女(ハハハ)は、そのからさに耐えたどころか、以後50年(くらい)ず〜〜っとご愛用というんだから、なんだかメカラウロコ的感嘆をおぼえた次第。
日頃の彼女の辛口発言はここに基点有りや… とも思わずにはいられず、可笑しさの温度がいっそう上がったりもしたが、当然、それは口にしない。



しかしイチバン驚いたのは、そのタバコライオンが去年に製造販売を終えたというコトだった。
こういう日用物は、つい永遠にある… というか、ジッサイ永遠にありはしないけども、ま〜、ごくごくアッタリマエだの「いつでもある」存在のような感がしていたもんだから、
「え、今、ないの!?」
不意打ちをくらったような妙をおぼえさせられた。



かつて永劫にあるかと思ってたパンナム(ボクの世代じゃ「兼高かおる世界の旅」という番組のスポンサーだったり、映画『2001年宇宙の旅』でのスペースシャトル便でメチャに馴染み濃い)が倒産してなくなるというコトもあったから、企業は永遠には遠い存在というコトは重々に承知、それゆえシャープも東芝もまた… という世のうつろいは知覚はしていたものの、ごくごく日用な品もまた… というトコロにボクはささやかに衝撃させられたワケなんだ。
思えば例えば、「ミツワせっけん」とかいったもんもあって、
「ワッ ワッ ワ〜 ワがみっつ〜」
のTV-CMなんぞは今だって唄えるけど、製品も会社もと〜の昔になくなってるんだもんな。


ま〜、ハナシ次いでに申せば、1945年(S20)の岡山空襲までは、岡山市の相当数の地所は紡績工場で占められてたんだ。
岡山駅前の、今のイオン岡山の界隈を含め、"紡績の町・倉敷"をはるかに凌駕する大紡績地帯だった…。
駅の周辺、それから京橋界隈は、鐘紡の工場と工員宿舎とそれに付随する諸々の施設(社員用のショップや散髪屋や医院などなど)で占められてた。
戦時体制での国策の歯車の1つとして町全体が軍服とその関連品を造る場所だったワケだけども、空襲がそれを断ち切った…。
で、今や、そのカネボウもない。岡山市街も、巨大工場が稼働していたらしき痕跡もほとんど、ない。


だから逆に、タバコライオンは去年までよくガンバッたな〜とも思ってしまうのだった。
いよいよ在庫分もなくなれば、まだ製造されているらしき同様なのがあるので、これをばコッソリ彼女にギフトしても良いけど… どうかなぁ?
習慣に組み込まれたカタチ(物品)というのは、たいがい代用じゃダメな感も、チラリ。