映画画質 2

 
老いたるヒトを抱えると、な〜かなか外に出られませんなぁ、あれこれ拘束されて。
ボクの場合はマザ〜ですが、ま〜、しゃ〜ない。お元気で何よりと口元ほころばせるっきゃない。
同年齢なフレンズにも自宅介護の似通う境遇を自嘲してるのが多い。
高齢化がもたらす顛末は、100歳の親を80歳の子供が面倒をみるという笑えない現実。
この先、80歳の方には子がいないというのが比率として高くなっていくだろうから、明るい未来、持続可能な社会構造の維持というのは…、遠のく一方なんだろなぁ、たぶん。



※ 元旦のマイ・マザ〜。タマゴヤキにガンつけてるの図。
日常はベッドでの食事だけど三箇日はテーブルに坐ってもらい共に食す。手編みのヘアバンドとカーディガンでコーディネート。でもオシメだよ…、と息子微笑み、お餅は小さく切ってお出しし、かつ、ノド引っかかりに要注意の警戒モードでござんした、よ。


さてと。
自室にプロジェクターを導入した。
映画舘的な画質を味わいたいワイ…、との電圧上昇がここしばらく続き一向に下降せず、ならば宅でのDVD/ブルーレイ視聴は映画館っぽく、と蛮勇した次第。
近頃のプロジェクターは進化が著しい。昨年のジャズフェス(中銀前)で好評だった映像配信はその1例。
で、導入したのはジャズフェスで使ったものより2倍ほど明るい3500ルーメン(意味わからないけど)のランプとレンズを搭載したもの。


部屋はモノでいっぱい。今さら動かすのも面倒だしそんなエネルギーもない。
半地下構造で天井が高く、販売されてる電動巻き上げ式ではスクリーン位置が合わない。
それで、スクリーンは取り外しを前提に、現状の環境、書棚の中途に覆いかぶせるカタチ。
オシャレでスノッブなホーム・シアターには遠い。



Before



After


壁面の構造上、投写距離は2メートルとちょっと。
この距離でスクリーン・サイズが決まる。
ドンピシャなサイズの割り出しは現物合わせに頼るしかなく、やむなく横幅186センチ、TVサイズで云えば84型のスクリーンを別途購入。
でかさ際立ち、小スケールの模型達の中に大きな模型を置いたようで、かなりバカっぽい。


幸いかなサウンド環境は既にだいぶんと前から整い、それがあるからプロジェクションも可能というワケで…、また逆にそれがあるゆえリビングじゃなく書棚で埋まった部屋にしか置けないという住宅事情。
ただ、想定以上にスクリーンが大きくなり、フロントと左右のスピーカーはスクリーンの後ろ…、音の効率はどうだろう?
レイアウトは要再検討というコトにし、スクリーンとプロジェクターの位置合わせで一苦労。



※ ホームセンターで見つけたリピートタイに救われる。スクリーン・フレームたる金属パイプの取り付けと左右バランス調整で活躍してもらった。



 ピントやら台形歪みの補正やらやら、あれこれ調整のため試験にVHSをAVポート接続。眺めてるのはビートルズの『ヘルプ!』。荒い画像に時代の推移ありあり。


で、設置終えて試しに1本DVD。
初体験はワクワクするねぇ、最初の1歩チョイスに悩んだ末に、
1954年作の『宇宙戦争』。
64年前の、この傑作を大きな画面で観るのはムロンはじめて。



TV画面の黒色とは違う、投影ゆえの深い黒色に、淡い感動ジンワリ。
スクリーン上の黒と部屋の暗さとが溶け合うというか、うまく噛み合うんだね、投影式は。
画質に満足度昂ぶる。
CDからLPへの回帰が起きてるように、液晶式から投影式へ戻っちゃう…。鮭が川に戻っていくさいの歓喜の狂おしさっぽい感も、なくはない。



※ この映画は4:3比率のフィルム・サイズ。牧師さんが焼殺される直前のシーン。しっかり輝度もあり、マーシャン・ウォー・マシーンのワイヤーも見える。


事の次いでとブルーレイ仕様の『フォースの覚醒』をば、チラリ。
ぁ〜らま、いよいよヨロシイじゃないの。
べっちゃり云えば、プロジェクターは光を大気に触れさせるワケだ。そこに極旨が生じるような感。


TVモニターでは意識もしなかった各映画の上映寸法というか、スクリーン・サイズの相異も際立って、そこも感慨深い。従来気づかなかった諸々が眼に映えるワケなのにゃ。
こんなコトならもっと早くに導入すればよかった。
こりゃしばし、スクリーン取っ払わず映画三昧かな…、仮設小屋的映画館風味に喜色する。



ただ、2つ思いがけない弊害。スクリーン手前にMacのモニター2つがある関係上、干渉しないようにスクリーンを配置したもんだから、観るには首がちょっと上向きぎみ。
そのチョットに違和あり。今までチョクチョクやってたラーメン啜りつつ観ちゃうというのが、今後は首の上下運動が加わるから横着モノたるを自負してる身としては如何なものか? ラーメンに上下運動はヨロシクない…、と懸念する。
あとの1つは、視聴がための身構え。
若干に部屋を暗くしなきゃ〜いけないワケで…、馴れちゃうと、たぶん、アタリマエになろうけど、TVモニターやMacでのお気軽さはありませんな。早や数年前から自宅にプロジェクターを導入しているピアノ調律のY氏が、
「観る気がないとけっこ〜面倒」
苦笑していたけど、なるほど意味了解。
映画とは拘束だ。そこがTVとは違うを再認識。


ちなみにマザーの部屋にはTVがあるけど、我がおつぼねさまは朝から晩まで右手にリモコンを持ってらっしゃる。
で、数分に数回の割合でカチャカチャ番組を変える。
すごい情報収集熱…、ではなくって、要は退屈なんだろうさ。幼児が番組よりCMの速いテンポに注視するみたいに。
結果、あれこれボタン操作をまちがえちゃ〜、ヘンテコな画面モードにしちゃって、ご自身で復帰できかね、
「テレビ壊れた」
常にTVに責任転嫁。これをば何度も繰り返す。
今朝も、入室してみるとTV画面にでっかい字幕。それも左右が切れちゃってる。
「おえんな〜、これっ」
リモコンに苦言を呈してる。
けっして学習しない、良い性格。
多少マザ〜の肩をもてば、今時のリモコンは多機能過ぎて老人向きじゃない。個々のボタンに詰まった小さな親切が、大きな迷惑っぽい。
復旧操作に、息子も苦労で…「親子リモコン遭難」。