コロナウィルスの感染。第5波が遠のき、さて次はいつ? という次第っぽいけど、今ひとつ判然としませんなぁ。
なぜ、波のような繰り返しとなるのか、感染者が増えたり減ったりする、その根本的なメカニズムが判んない。
ワクチン接種者の増加とか行動制限、というのはたぶんに外因として貢献しただろうけど、内因としてウィルスが集団で周期的活動をしていると、思えなくもない。
個々が連絡取り合って、ここで退こうとか、ここで進もうとか、そんな情報網が整備されてるんじゃないのかしら……、と思えなくもない。
じゃ、それってどんな通信網? と問われると応えに窮す非科学的な言い分だけど、パリで紫色が流行り出す頃に奇しくもニューヨークやギンザ付近でも紫色が好感されだす「文化の同時性」みたいに、線としては表せない性質の“フィーリング”的伝搬があるんじゃなかろうか……、モヤ~っとそう思ったりする今日この頃。
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スザンナ・トンプソンという女優に好感して、久しい。
なので今月は集中し、彼女の出たTVドラマや映画を、追うというほどでもないけど、連続で眺めてた。
『NICS ~ネイビー犯罪捜査班~』シーズン4 第6話「それぞれの序章」より
● 『スタートレック:ヴォイジャー』(TVシリーズ)2000 DVD
シーズン5 109話と110話 「ボーグ暗黒フロンティア計画」のボーグ星人の女王。
● 『NICS ~ネイビー犯罪捜査班~』(TVシリーズ)2014 amazon prime
陸軍中佐役で7つのエピソードに登場。マーク・ハーモン演じる主人公と恋仲になる。
● 『コールドケース 迷宮事件簿』(TVシリーズ)2010 amazon prime
シーズン7の3エピソードに登場。FBIの捜査官役。主役のキャスリン・モスをかるく凌駕する存在感。
● 『ランダム・ハーツ』1999 DVD
主役ハリソン・フォードの浮気して飛行機事故でなくなったワイフの役。
● 『コーリング』2002 DVD
主役ケビン・コスナーのなくなったワイフの役。
● 『アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗』2007 DVD
第2次大戦で強制収容された日系人の物語。ジュディ・オングや中村雅俊が出てる。彼女はごく普通の米国人兵士のワイフをごく普通に演じる。
以上15作品を観る。
スザンナ・トンプソンは、グレース・ケリーやキム・ノバックに通じる典型的な上品さのある赤毛の美人。
が、グレース達のように主役にまでは昇進しない。
多くの“美人”の中に埋没ぎみと思われる。
美人とて数がたくさんになりゃ、「一山幾ら……」、目立たなくなり、高嶺の花という次第でなくなる。
常に脇役。
が、その脇役を、彼女スザンナが演じたことで主人公がメチャに際立つという点では、どの作品も共通する。
脇役なれど、彼女の役柄は映画の中の特異点であって、その意味では断固目立つ立ち位置。なのに、どういうワケか、大事な特異点であるというコトを気づかせない。
そういう妙な不思議さがある女優さん。
そんな感触があるゆえ、『ランダム・ハーツ』も『コーリング』も死者の役という次第だったんかしら?
ま~、そこを詮索してもイミはない。ただただ当方には、印象が残って興味が持続する女優さんに昇進しているワケなのだ。
『ランダム・ハーツ』より
いずれの役も、いささか気の強い女性。男にあそばれるのじゃなく、男をあそぶタイプの役。
『アメリカンパスタイム』のみ、普通のめだたない女性の役だけど、やはり目立たない亭主を際立たせるという意味で、目立たないことを演技の主眼にした感も濃く、事実、目立たなく振る舞う。
あれこれのTVシリーズでは、気性を示し出す演技が際立つ。
ドラマの中、スザンナ・トンプソンは俄然に光ってる。絶妙なニュアンスぶくみの魅惑が放射される。
微妙なニュアンスというのは、気が強くて男をあそぶように見えて、しかし、実のところは弱さが根底にうずくまっているという役どころの演技。
大変な難役だ。
それを彼女は、いずれの作品でも黙々とこなしてる。
『スタートレック:ヴォイジャー』では特殊メークを施され、おぞましいけれど、なんとも美しくもあるというボーグ星人のクイーンを演じ、以後何人かの女優さんが同役にトライしてらっしゃるけど、怖い綺麗さと叡智鋭い言葉の使いようなど、スザンナ演技を踏襲しているようで、なが~いスタートレック史の中でも指折りな、キャラクター化に成功している。スポック同様、いわば“形状”の先鞭となっているワケだ。
そこに気づくと、ク~~~ッ、たまらんなぁ、いいぞイイゾって気分がのり、作品の中の彼女の一挙手一投足を注視してしまうワケなのだ。
『NICS ~ネイビー犯罪捜査班~』より
アップの表情はジョディ・フォスターに似ていなくもない。いや、かなり近い。理知的で繊細でどこか影が潜む。年齢も近いが、ジョディは既に大きなスター。かたやスザンナは脇役にとどまる。
マニアックな探査といえなくもないけど……、複数本を眺めて、エンの下には常に力持ちが潜んでるということを、見いだしている。
主役ばかりが花じゃない。路傍にもまた花あり。それも咲いたばっかりのじゃ~なくって、けっこうな辛酸を舐めた末で凜々を維持した熟成花。
『コールドケース 迷宮事件簿』でのFBI捜査官役では、ほぼカンペキに主役のキャスリン・モスを喰う大輪。そうなると見て取った監督は2人が並ぶシーンでは必ずどちらかにフォーカスをあわせ、他方をピンボケにするという手を使って分極化も努めてるけど、アウト・フォーカスの中のスザンナの存在感まで消し切れない。
そんな次第で、この女優さん、素晴らしい。
VIVA! Susanna Thompson!
1人こっそり拍手し、往年の水野晴郎みたいに、
「ぃや~、スザンナ・トンプソンって、ホントいいですねぇ」
真似て、ニッカリ北叟笑んだこの9月。