レモン ~光琳の松~

 

 感染者数が減少ぎみながら、いぜんコロナ禍。

 若いヒトは軽症で済むようじゃあるけど、高齢者の重症化がアップップ~。

 シルバーシートご優待の檻に押し込められた当方としては、平気ヘ~キィというようなノ~テンキで日々をうっちゃえるかといえば、当然そうでない。

 肺機能は誰よりも弱いし、それゆえ毎年風邪にかかりやすい。なので、コロナ・ウィルス1粒でも喰らえば、10メートルも駆けられない、グリコとは真逆のエライコッチャの可能性大。

 

 真夜中に外に出て、口の手前を懐中電灯で照らしつつ、ハァ~~っと息を吐き出すと、白い呼気がいとも容易に1メートル越えた向こうまで飛散するのが判る。(ウソとおもうならヤッてみんちゃい)

 けっこうな勢いに、いまさら驚き、

「なるほどなぁ」

 呼気と大気の関係をシミジミ知覚し、唾液なんぞの飛翔っぷりを思い返すんだった。マスクで口と鼻を覆っても、目玉はむきだし。

 粘液性の眼から、「うつるんですよ〜」だって充分にありえる……。

 が、だからといって、フルタイム誰にも接しないというようなコトは出来っこないワケで、

「なんだ、結局、リスク抱えて、まだしばらくはビビッてなきゃいかんのか」

 途方にくれるというワケでもないにしろ、マスクを着けるというか、マスクにしがみついてでなきゃ〜、「渡る世間にツバ、ペッペ〜」の困ったちゃんの状態継続を、嘆くしかない。

 

 数日前、Wakame Mizumichi 宅で某君のバースデ~・ミニ・パ~ティ。うまいお好み焼を食べる予定だったけど、前夜より体調不良になりにけり。

 で、結局キャンセル。

 風邪の初期症状だったようで、今は概ね正常。こういう場合もコロナかも? と一応は、自分にビビるわけで。

 Wakameは元関西人ゆえ当然に関西コテコテのお好みだったろう。痛烈に残念。

 

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 1年チョイ前に庭に植えたレモンの苗木。

 昨年冬は全て葉が落ち、ガイコツのような姿になって、はたして越冬するのかしら? といぶかった。

 幸いかな春にまた芽吹き、夏は葉をおごらせて、ヤレヤレと安堵したんだけど、この冬はあえてビニールをかけている。

 ビニールの温室効果は大きく、葉は落ちない。

 過保護……、の一語が明滅するけど、背丈もない苗木2年生だから、ま~、これはこれで良いだろう。

 とはいっても葉は色が落ちている。春になると生え替わるんだろう、たぶん。

 ヒトの頭髪も冬に抜け落ち、春にあらたに生えちゃう……、みたいになればオモチロイけどな。

 おそらくレモンは、ビニールなど掛けずとも、季節のサイクルに順応し、寒ければ自ら葉を落とし、たとえガイコツのごとき姿になっても、翌春まで体力温存、次ステップもそなえる聡明な生きる叡智を持ってるはずなんだけど、ね。

 

 日本でレモンの栽培がはじまったのは明治6年というから、その157年前の江戸時代に没した尾形光琳はレモンを見たことがなく、当然に描いてもいないわけなんだけど……、彼なら、どうレモンの木を眺め、描いたろうか、かなり、興味あり。

 

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光琳図案」にみる彼の樹木、たとえば松なんかの抽象の仕方がハンパでなくって、

「えっ、こう描くのかぁ」

 しばしアッケにとられ、なるほど岡本太郎光琳を絶賛したわけだと妙に得心もするんだけど、と、それにしても、この松はすごいわね。

 

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 抽象心眼というか、対象をガッと捉え、それをほぼ一筆で バッとまとめあげる眼力と画力の凄みが、文字通り、スゴ過ぎ。

 下の図案では、松の枝葉の横手で鳥までが松化(昇華)しちゃってる。

 当然、上図の遠景と下図近景の松は、松は松でもま〜るで違う。

 

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 リアリジュームよりも光琳自身の眼にどう映えるか、この徹底が光琳光琳たらしめているわけで、天才や非凡といった当方にはない超越した、まったく真似できないレベルの高みに、

「とやかくと凡人の思はぬ心さえ」

 哀しいほどに、なぜかレモンの酸っぱさをも思うんだった。

 

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 シーナ&ロケッツに『レモンティー』という曲があって、かねがね、そのパワフルなノリノリを好みとしつつも、いささか猥褻風味な歌詞には今もって小っ恥ずかしい感触があって、好きだけど感心しない……、でも、ヤッパ好きだわ~ん、なんだけど、その歌詞はどうあれ、作曲は鮎川誠となっている。

 

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 けどねえ~~、この曲って、彼のオリジナル発想じゃ~ないね。

 ヤードバーズの「Train Kept A-Rollin’」にあまりにソックリさん。

 以後もこの曲は、エアロスミスやレッド・ツェッペリンがカバーし、よりハードでビートの効いた曲に進化させる……。

 

ボーカルとハーモニカは若きボリス・ジョンソン英国首相じゃなくって、1976年、33歳の時にギターで感電死してしまったキース・レリフ。大きな才能を抱えた人物ゆえ、この夭逝は残念。

 

 大元は、1951年のタイニー・ブラッドショウの曲だ。

 ジャズのダンシング曲で、それをヤードバーズ以前に、ジョニー・バーネット・トリオがロック風味でカバー、歌詞も含めて大幅にアレンジしていたワケだね。

 

      

下のYoutube映像が、本来の、タイニー・ブラッドショウのサウンド。上記

2本と較べるまでもなく、どんだけ変わったか……、ビックリもの。

 

 そういうヒストリ~あって、さらに後年、福岡で鮎川が、あのノリノリな”レモン風味”に造りあげてるワケだ。

 けど、なんで元々の作曲者としてタイニー・ブラッドショウの名が出てこないのか、ふ・し・ぎ。タイニーさんを、いささか気の毒に思う……。

 

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            Tiny Bradshaw   1907~1958

 

 たぶん鮎川さんは自身意識しないうち、この曲を自己の血と肉にして、自分表現の”原木”と化させたんだろう。だから、オリジナルという次第……、ぅん?。

 こういう例証もまた。拭えない酸っぱさがアリアリなんだけど、そこに旨味アリって~感じかしら。楽曲通り、レモンティ~ストかもだね。

 

 尾形光琳の画業のデカサは、やがて光琳派というカタチでもって後世に伝搬波及していくけど、タイニー・ブラッドショウの曲にもそんな原点気配があるね。

 ただ、こちらの場合はドンドン変化するってぇ〜トコロで価値上昇、酸化具合がマックス。ひたすら酸っぱい方向に向かい、光琳派の光琳作風を伝統化するゆえにの保守的生息とは、違うんだった。ま〜、ロックだもんにゃ。ロックが守りに入っちゃ、イカンだろう。

 むろん、その一点では、尾形光琳は江戸時代に絵画の枠をブッ壊して新たな地平をみせ、自身もキラキラした人物だったというから……、D・ボウィみたいな、華やぎある、でっかいロック・スターだったろうさ。

 でもでも、光琳さんはレモンは見たことも嗅いだことも味わったことないんだね。

 あ〜、でもスダチは見たり噛んだりしたコトはあるかもぅ〜。すでに当時は徳島のスダチが京都でも江戸でも売られてたそうだから、うどんにのっけ、

すっ

 くちびる、すぼめていたかも。

 

 

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 時代と時間が100年以上昔に戻ったようなプーチンの振る舞い……。

 プーチンというより、ラスプーチンの名がふさわしい。奇っ怪で醜悪。

 どう転んでも「裸の王様」以外のナニモノでもないけど……、この裸ん坊に服を着せたり鈴をつけたり出来ない周辺のドンヨリにもがっくり。

 踏みにじられる人達がとにかく心配。