チョイ静養

 

 あれほど気遣っていたのに、油断したというか、その状況でそ~なるかというか、日曜に小庭で作業中、チョコっと変な姿勢のままスコップを土中に差し入れ右足でグッと踏み込んだ刹那、左の腰部が、

「グギっ」

 音たてた。

 他者に聞こえるようなもんじゃ~ない感覚音なんだろうけど、筋だか筋肉だかが、そういう音をたて、トタンにハードな痛み。

「ぁ、しまった」

 は、もう遅い。

 前夜土曜ナイトの複数軒ハシゴ酒の、かすかな二日酔いゆえのためか……?

 スコップ手放し、油ぎれのロボットみたいにギックシャクな不格好で室内に戻る。

 数年前の通院する程の大ハードでなかったのは幸いだけども、腰を曲げたり、腰を伸ばしたり出来ない怖い痛みが駆けている。

 

 という次第で庭作業なんぞは、もってのほか……。

 横たわると寝返りがうてない。

 けど、座ってるだけだと何ともないから、自室に座し、養生ヨ~ジョ~、洋上に漂うボートがごとく安静にする。

 

 Bryan Ferry、あがた森魚、Jorja Chalmersを続々聴き流しつつ、何冊かの本……、『堤未果ショック・ドクトリン』、『墨子よみがえる』、『世界の辺境とハードボイルド室町時代』などを拾い読み、高橋葉介のコミックス『夢幻紳士』シリーズを5〜6冊イッキに眺めたりした。

 あがたのカバー・アルバム『IMITATION GOLD』の5曲目「りんご園のロボットさん」は、クラフトワーク美空ひばりを合体させた上にあがたのオリジナルを加味し、岡本太郎が実践し模索し続けた、“異なるモノのぶつかりあい”、によって生じる新たなアート領域への突入という……、そのミュージック版の最良の1曲とも改めて憶もえ、ボリュームあげて4回ほどリピートしたりも、した。

 リンゴとリンドバーグの語呂合わせが笑えるが、ただのパロディとは一線をかしている。

 

こんな曲です。――――――――――――

 ミュージックと本の連続吸引にやや飽きると、誰かさんが貸してくれたNHKミュージック・スペシャル『椎名林檎』のBlu-rayを眺め、

「鳥越さんのベース、カッコよいなぁ」

 フロントの椎名よりバック・ミュージシャンのカタチに密かに感想したり、した。

 

 医院に出向かずともいい状況ながら、即日で快方される性質のものじゃ~ないんで、明日も明後日も、やはり静養モードなんかしらねっ?

 前回の通院で買わされたチャンピオン・ベルトみたいな腰巻(名を知らん)を引っ張りだして腰に装着。

 これがどれっくらい有効なのか判らないけど、ま~、ないよりマシだな。

 グイっと締め着ける。

 それでチョイっと、お腹がくすぐったい。