迷惑な行為

 

 50メートル・クラスの大きなプールで泳いでいたら、おじさんがジョボジョボジョボ、水面に向けてオシッコして立ち去った。

 おじさんはイチモツの前にコーヒー・フィルターをかざし、そこにオシッコを注いでた……

 監視員に「あれ、いいの?」と詰め寄ると、

「迷惑行為ですなぁ。けど、このプールの水量に対して、あの量は無視できる程度でしょう。それに、フィルターで浄化しているようだし」

 それで、はい、判りましたぁ~、とそのまま遊泳は……しませんよなぁ。あわてて水からあがり、シャワーで必死に身体を洗うでしょ、フツ~は。

 で、しばし、とっても不機嫌な面持ちでいるでしょうよ。

 

 ――――― と、なんだかそんな感じ悪さが最前面にある福島原発の海洋放出プラン。如何なもんでしょうなぁ。「汚染水」じゃなく「処理水」だと云い、科学的には安全レベルとのことながら、気持ち悪さまで「処理」できないっしょ~。

 

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 当方宅にプールはないけど、ミニな池有り。

 こたび、金魚を入れた。

 前回、稚魚を100匹いれて全滅だったゆえ、池を改修し、水の流れも多少考え、テスト的に成魚となったのを10匹、いれた。

 一晩、金魚たちをメチレンブルー溶液の中にいれ、白点病など金魚特有の病い予防を施し、それから池にいれた。

 水質の急変で金魚は皮膚病にかかって死亡するコト多し。その予防として塩水かメチレンブルー水溶液か、いずれかを使う。金魚の皮膚にこれが滋養となり保護材となり、リポビタンDみたいに生体をシャキっとさせてくれるワケだ。

 

 池に放して早や10日ほど経過しているけど、10匹いずれも健在。メチレンブルーが浸透して体色が青黒くなっていたのも消え、元の赤いベベ着たか~わぁ~いい金魚に戻ってる。

 むろん当然、金魚たちがいるこの池に向けて、当方、オシッコしない。

 おのず、金魚たちもそんなコトは望んじゃないだろう。1回でも当方がそんなハレンチをやったら、

「あのね~、アンタね~」

 金魚たちは、抗議プラカードを手にするコトが出来ない不自由を感じつつも、猛烈に反撥するに決まってる。そうでなくとも赤い顔をさらに真っ赤にし、隊列組んで、

「エエ加減にせ~よ、このキンギョ迷惑めがッ!」

 尾ヒレをブンブン動かすに決まってる。

 


 

 

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 幕末の高知。 

 坂本龍馬高知城近くの上町一丁目の自宅・才谷屋から国分川を越えたおよそ10キロ先の仁井田にある武市半平太宅までテクテク歩いていっては彼に会っていたけど、武市宅に着くや、門そばの土壁にほぼ必ずオシッコしたと、司馬遼太郎は紹介している。

 そのたび重ねゆえ、塀のその部分は黄ばんでしまい、いつも異臭がし、半平太の女房富子は大いに苦言をていしたらしいが、ま~、そりゃ当然だなぁ。

(武市はその後、嘉永3年に高知城下に転居し武市道場を開く)

 上写真。「高知市立・龍馬の生まれたまち記念館」にある才谷屋の離れを再現した空間。龍馬と乙女姉さんの等身大フィギュアが居間に座ってる。乙女に恐縮しているらしき龍馬がま~ま~イイ感じだけど、乙女さんって100Kg級の大きな人だったらしいから、このフィギュアは配慮し過ぎだねぇ。彼女はビッグサイズの自分を誇りにしていたようだし……、これではかえって乙女さんのオトメゴコロを傷つけていないかしら。でも姉弟が近距離で座ってるのは実に微笑ましかったな。

 

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 昭和30年代をボクは津山で過ごしたけど、小学校に通う道すがら、武市家同様、土塀に似通う痕跡があったのを憶えてる。

 1人のお百姓さんが、その塀、その部分に向けてジョボジョボ垂れ流してるのも見た。たぶん毎日、その赤の他人さんの塀に向けてシ~シ~してたんだろう。黄ばみを通り超して黒いフチのような色も滲み、カビも生えてた。

 犬のマーキング同様、同じ所でやっちゃってたワケだね。

 アチャコチャ所構わずではなく常に同じ場所というのが、彼流の美学だったか? 美的態度だったか?

 いやいや、ビガクなんて関係ないっすねぇ。ただの迷惑千万な放出……、ですな。